2003年09月03日(水) 06時43分
神奈川、熊本、広島にも「毒ガス捨てた」…旧軍関係者(読売新聞)
茨城県などで旧日本軍の毒ガスが原因とみられる健康被害が相次いでいる問題で、神奈川、熊本、広島の各県にも「毒ガスを捨てた」といった情報が旧軍関係者らから寄せられていたことが2日、読売新聞の調べで分かった。
神奈川県には旧海軍工廠(しょう)に勤めていたという住民から、「終戦直後、毒ガスを排水溝に捨てた」などの情報が数件寄せられていた。ただ、毒ガスはいずれも少量で、同県では「緊急性はない」としている。
熊本県に寄せられた情報は、他県の旧軍関係者からで、「八代海に、くしゃみ剤が入ったコーヒー缶程度の大きさの缶数個を投棄した」と具体的だった。このため、同県は「早急に本人に会って確認する」としている。
広島県には、戦時中、毒ガス工場があった大久野島で製造に携わったという男性から、「製造工程で出る有毒なヒ素化合物を排水溝に捨てていた。まだ溝に残っているのではないか」との指摘があったという。
一方、旧日本軍の毒ガスに関し、各自治体を通じて全国調査を実施した環境省は2日、これまで計488件の関連情報が寄せられたと発表。分析を始めたばかりだが、「今のところ緊急対応を必要とする情報はない」としている。
◆くしゃみ剤=吸入すると、くしゃみ、鼻水、せき、吐き気などが止まらなくなる。ジフェニルシアノアルシンなどの化学物質がある。住民の健康被害が相次いだ茨城県神栖町の井戸水では、くしゃみ剤に由来すると見られる有機ヒ素化合物が検出された。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030903-00000401-yom-soci