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2003年09月02日(火) 03時01分

収入の大半、役員報酬に 通行料別納利用の事業協同組合朝日新聞

 高速道路の通行料金が最大で3割安くなる日本道路公団の「通行料金別納制度」の利用を主な目的にした異業種の事業協同組合のうち、利用額が多い48組合が平均2億5千万円の収入を得て、その大半を役員報酬や業務委託費として支出していることがわかった。出資者である組合員に、収益から配当しているのは10組合にとどまっていた。役員報酬総額は、金額のわかった28組合の平均で2900万円。役員数は平均8人だが、親族で理事を占め、5人で8千万円の報酬を受けている組合もあった。

 政府の道路関係4公団民営化推進委員会に提出された44組合の最新の決算書類や、情報公開請求で朝日新聞社に開示された4組合の内部資料を分析した。

 中小企業の事業協同組合は、各組合員企業の高速道路料金の総額(別納制度の利用額)に対し、日本道路公団から別納制度による割引を受けられる。組合が公団から受ける割引率と、組合員に適用する割引率の差から生じる「差益」が組合の収入になる。

 決算資料によると、48組合の別納制度の利用額は約54億〜20億円。各組合が得た収入(差益)は6700万円から最大で6億円。しかし、多くの組合はこの中から約8割を役員報酬などの人件費や、事務や営業を外注するなどの業務委託費で支出していて、組合員に配当したのは10組合だけだった。

 利用額が54億円と最も多い「情報通信システム」(北海道旭川市)の収入は約6億円。役員報酬(役員5人)3480万円と、業務委託費などを含む経費約5億2千万円で収入の約9割を支出している。当期利益を約5500万円計上しているが、配当はしていない。

 一方、利用額が20億円で48組合中最も低い「宮城県商工振興」(仙台市)の収入は6700万円。役員12人の報酬をゼロとして、経費を約1千万円に抑え、2500万円余りを組合員に配当した。同組合は「組合員企業から出ている役員に報酬を払う必要はない。割引を受けていることでメリットはある」と話す。

 役員報酬総額を資料に記載している28組合の平均額は、約2900万円。役員は無報酬だったり報酬が低かったりする監事も含めて平均8人。

 報酬総額が最も多いのは「双助会」(東京)で、役員7人に対して計8284万円。次いで、総額が多い「大阪共同計算センター」(大阪市)は役員5人へ計8188万円を払っている。理事長ら4人の役員は親族で、うち1人が経営する会社に「別納事業費」として、約5900万円の委託費を支出している。理事の1人は「さまざまな事業を手がけ、リスクも負っているので報酬が高いとは思わない。組合で出来ない事業があるので委託している」と話している。

 また、10組合が「組合員の福利厚生」や「新規組合員の獲得」などを理由にゴルフ会員権を所有。価格は一口1700万〜650万円。会員権の売却で約4600万円の損失を出した組合もあった。

(09/02 03:00)

http://www.asahi.com/national/update/0902/010.html