2003年08月30日(土) 14時43分
校舎の耐震改修工事に効果あり…宮城地震で東北大調査(読売新聞)
震度6強を記録した7月の宮城県北部地震で、震源地に近い矢本町内にある似た構造の2つの中学校校舎のうち、耐震改修済みの校舎にはほとんど被害が出なかったことが、東北工業大の小野瀬順一教授の調査でわかった。調査結果は31日、日本建築学会東北支部の調査速報会で発表される。
2校は、町立の矢本一中と矢本二中。直線で約3キロの距離で、ともに鉄筋コンクリート3階建て、柱の配置などはほぼ同じだった。一中は1964年、二中は70年に校舎が完成した。
二中は98、99年に耐震改修を実施。廊下と教室の木製間仕切りを、各階数か所ずつ、教室の前後の出入り口の間約7メートルについて、厚さ約20センチのコンクリート製の壁にした。地震では窓ガラスが割れたが、建物自体は無事だった。
一中は通常の間仕切りのままで、太さ75センチの柱3本の1階部分に斜めの亀裂が入るなど計88か所にひびが生じた。全17教室のうち11教室が使用できなくなった。小野瀬教授は「耐震改修の有効性が大きな地震で初めて実証された」と話している。
文部科学省の調査では、全国の公立小中学校の校舎や体育館計13万1482棟のうち、耐震性が確認されているのは6万1315棟。また、耐震診断で補強が必要とされたものの、壁の追加や建物の外周を鉄骨で補強するなどの改修をしていない建物は1万4393棟もある。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030830-00000206-yom-soci