2003年08月29日(金) 13時40分

セラチア菌院内感染死亡事故、病院長らを書類送検（読売新聞）

　東京都世田谷区の「伊藤脳神経外科病院」で昨年１月、患者７人が死亡したセラチア菌による院内感染事故で、警視庁捜査１課と北沢署は２９日、病院長・伊藤誠康（４６）と当時の看護師長・佐藤圭子（７１）の両容疑者を業務上過失致死傷容疑で東京地検に書類送検した。

　調べによると、伊藤容疑者らは一昨年１２月２６日から昨年１月１５日にかけて、点滴の際に血液の凝固を防ぐ「ヘパリン生理食塩水」を毎日新しく作ることを怠り、常温で保管するなどしてセラチア菌に汚染させた。その結果、患者１２人が感染し、飯島ミネ子さん（当時７０歳）ら６人を敗血症などにより死亡させ、ほかの６人に敗血症を発症させた疑い。

　この事故では、入院患者２４人が高熱を出し、うち７人が死亡したが、鑑定の結果、死者６人を含む計１２人の感染者から検出された菌のＤＮＡが一致したため、この１２人の死傷について容疑事実とした。

　調べに対し伊藤容疑者は「死傷者を多数発生させ、深く反省し、責任を感じている」と供述している。

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　交通事故で入院中に被害に遭って死亡した飯島ミネ子さんの長女仁美さん（３８）は、病院長らの書類送検を受け、「病院には事の重大さを認識して、しっかり責任を取ってもらいたい」と語った。

　飯島さんは一昨年１２月に入院して頭部外傷とむち打ちの診断を受けた。ところが、翌年１月９日未明、病院から容体急変を告げる電話があり、同日朝、死亡した。

　看護師だった飯島さんは生前、「院内感染にでもなったら大変」と漏らしていたという。「今思えば、母は病院のいいかげんさを感じていたのかもしれません。もっと早く母を転院させていれば」。仁美さんは唇をかんだ。

　７人の死者のうち、仁美さんを含む４遺族は今年初めまでに病院側から慰謝料を受け取るなどの内容で和解した。伊藤容疑者はこの時、初めて謝罪の言葉を述べたが、仁美さんは「誠意は感じられなかった。病院への不信感は今も消えません」と振り返った。（読売新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030829-00000304-yom-soci