2003年08月28日(木) 07時03分
厳しいが回復の可能性も 関係者、作況独り歩き警戒(河北新報)
青森、岩手、宮城3県の水稲の作況を「著しい不良」とした東北農政局の発表について、農協や各県関係者は「厳しい状況だ」と口をそろえる。その一方で、「今後の天候次第で回復することも可能」「1993年のような流通・消費の混乱はない」と、作況の“独り歩き”に警戒を強める。
岩手県農協中央会の小笠原一行副会長は「被害は確定的な状況。農家にとっては給料が出ないと言われたようなものだ。被害の程度はまだ分からないが、ある程度の覚悟は必要だ」と険しい表情で話した。
宮城県農協中央会の大堀哲会長は「低温障害の影響は地域によって相当深刻な所もある」と懸念する。青森県農協中央会の種市一正会長は「作柄確保と農家の生産意欲の向上に全力を挙げてきた。今後も作柄確保に全力を挙げたい」との談話を発表した。
各県の関係者も、「県内全域での被害が避けられないのは確か」(佐々木正勝岩手県農林水産部長)「深水管理の徹底など冷害対策を実施したが、それを上回る異常気象だった」(鈴木柾夫宮城県産業経済部農林水産局長)と、現段階の作況を深刻に受け止める。
青森県農林水産部の秋谷進部長は「今後の天候回復次第では回復できる余地はある」と語る。
一方、不作によるコメ不足を先取りした流通の動きを懸念する声も出始めた。全農福島県本部の菊地勝久本部長は「懸念されるのが、93年のような流通・消費の混乱。今年は備蓄が十分にあり、コメが不足しないことを十分認識してほしい」と訴える。
「不良」となった福島県は出穂の遅いコシヒカリの作付けが6割以上を占める。同県農林水産部の永石正泰・総括参事は「8月15日の時点では、穂が出そろっていない段階。いもちの防除や水管理など、万全の対策を取っていきたい」と残暑に期待をかける。
[河北新報 2003年08月28日](河北新報)
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