2003年08月28日(木) 21時27分
住基ネット 独自サービス提供はゼロ 市町合併の枠組みが先決 /香川(毎日新聞)
個人情報を一元管理する住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の本格稼働が25日、全国一斉に始まった。住民票の写しの広域交付や転出入手続きの簡素化を図れるほか、ICチップを搭載した住基カードを利用すれば、自治体独自のサービス提供もできる。県内では、カードの普及率の見極めや将来の合併による枠組みの変化などを理由に、独自サービスの提供を始めた自治体はゼロ。個人情報保護に絡む不安感などから住民グループが住基ネットからの離脱を求める動きもあり、国がPRする「電子政府・自治体」の基盤となるかどうかは不透明だ。
県などによると、住基カードは写真付きであれば身分証にもなり、希望者に1枚500円で交付している。総務省の指導もあり、全国約9割の自治体は500円で設定。転出入した際には、失効するため再度交付手続きが必要だ。
各市町は条例を制定すれば、住基カードを利用して公共施設の空き情報の照会や予約、災害時の安否確認システムなど独自のサービスを提供できる。総務省によると、全国45自治体が条例を制定したが、県内ではゼロ。高松市は今年5月下旬に庁内に検討部会を設置したが、「カードの普及状況をにらみながら検討を進める」(市民課)といい、独自サービス提供までには時間がかかりそう。一方、「市町の合併問題が落ち着き、新たな市町の枠組みができるまで独自サービスを提供するのは難しい」とする自治体もあり、独自サービス提供の検討自体を先送りしている自治体がほとんどのようだ。
また、県によると、初日の25日に県内で住基カードの交付を申請したのは128件で、55人に交付した。今年度内に約2万4000枚のカード交付を見込んでいるが、普及率は県民の約2・4%にすぎない。背景には個人情報保護にかかわる不安感もある。県内の6自治体(非公表)は、住基ネットと接続している庁内LAN(構内情報通信網)がインターネットに接続しており、不安視する向きもある。県自治振興課は「住基ネットで提供する情報量が現在の範囲内であれば、ファイアーウオール(不正侵入防止システム)の運用で対応できる。状況を見極めながら安全対策を徹底したい」と話している。
これに対し、渡辺智子県議ら住民グループは「住基ネットは大量の情報を一元管理するため危険でネットの運営費も多額」などと批判。28日正午から、高松市内町の三越高松店周辺の商店街で街頭キャンペーンをし、住基ネットの問題点の周知などを図るという。
【井沢真】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030828-00000001-mai-l37