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2003年08月27日(水) 00時00分

住民どこに行った? 基本台帳に記載されているのに… 住民票コード通知票(見本) 東京新聞

 静岡市で、住民票に記載された住所に住んでいる実態がない「不在住民」の総数が、約二千百人に上っていることが分かった。厳しい経済状況が続く中、このうちの相当数が借金返済を逃れるために届けを出さずに住所を変えているとの見方も。市は本年度中に不在住民の調査を行い、明らかに住んでいないと確認されたケースについては、住民基本台帳の適正管理のため順次台帳から削除する「職権消除」の作業を本格化させる。

■「不在」静岡市で2100人

 この問題は合併前の旧静岡、清水両市が昨年八月、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)稼働に合わせ、全世帯へ住民票コード通知票を郵送したことから表面化。

 両市で合わせて約二千三百通が転居先不明で戻ってきた。このため十二月までに各郵送先の住所周辺で聞き取り調査をしたところ、長期入院など事情がある場合を除き、約二千百人については居住の実態がない状況が浮かんだ。

 債務者の事情に詳しい青山雅幸弁護士=静岡市追手町=は「静岡市内に住んでいて、貸金業者などからの取り立てを避けるため、住民票をそのままにしてあちこちを転々としていた人からの相談を最近も受けた。個人破産の手続きをした上で新たに住民票を取らせたが、このような状況の人はかなりの数に上ることは十分に考えられる」と指摘する。

 また、アパートなどの大家からは「部屋に家財道具の一部を残したまま行方が分からず困っている」との苦情もあり、市は九月以降に再度、対象住民の住所周辺で調査し、住んでいないことがあらためて確認された場合は職権消除を適用する方針。

 消除されると、生活に欠かせない行政サービスがまともに受けられなくなるが、本人が事情を説明して実際の住所を届け出れば台帳への復帰は可能だ。

■浜松市は648人 毎年独自調査

 浜松市では、不在住民の総数が六百四十八人。市全体人口約六十万人の0・1%程度で静岡市に比べずっと少ない。浜松市の市民窓口センターは「毎年、市内全域を四分割して市独自に実態調査を実施しているからではないか」と分析する。

 実態調査は「住民実態票」というはがきを送付し、専従の職員が調査。「選挙がある場合は投票所の入場券(はがき)を送るが、この時も不在だと当事者の家族などに現状を聞く」という。明確にいないことが分かれば台帳から削除する職権消除を以前から行っている。

 同市は「借金返済を逃れるためという人だけではない。特に若者の中には住民票を変更することが面倒くさい、知らないという人も少なくない」という。

 ブラジル人が全国一多い浜松市の場合、外国人登録業務も市民窓口センターの業務として大きなウエートを占める。七月末現在の外国人登録者数は二万二千人以上。「外国人登録については実態調査はしておらず、統計的な数字がないのが現状」としている。

■「転居先不明」947件が返却 富士市

 人口二十四万二千余人で県下三番目の規模の富士市では昨年八月、全約八万三千七百余世帯に住民票コードを郵送通知したところ「転居先不明」として九百四十七件の返却があった。うち長期入院や季節労働のため「通知書が届いていない」との申し出が数十件あった。

 転居先不明の実態について市民課は居住アパートの大家などから聞き取り調査したり庁内各課から情報を集めている。『不現住』と定義づけた実数はつかんでいないが、「消費者金融からの取り立てから逃れるため身を隠し、実際には『転居先不明』の住民の八割方が市内に住んでいるのでは」(同課)と推測する。

 また市民課が実施した職権消除の件数は平成十二年度が二十五件、同十三年度十八件。昨年度には五十件と一気に増えている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/siz/20030827/lcl_____siz_____000.shtml