2003年08月26日(火) 00時00分
住基ネット2次稼働 一時不通 交付に遅れ住基ネットの2次稼働で、専用パソコンと住基カードの読み込み機が設置された=高知市役所で(朝日新聞・)
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が2次稼働した25日、県内の各市町村でも住基カードの受け付け、住民票の写しの広域交付などの新たなサービスが始まった。しかし、国のサーバーに全国の自治体からの接続が集中して通信が一時不通になるトラブルがあり、そのため高知市では住民票の交付が遅れるなど、ネットのもろさも露呈した。
この日、高知市役所の総合窓口センターには住基ネット専用の窓口が設けられた。
午前9時、愛媛県今治市から出張で高知市内に来ていた公務員芥川雄次郎さん(40)が、一番乗りで自身の住民票の広域交付を申請した。しかし、市の端末と国のサーバーとが回線混雑のためになかなかつながらず、交付されたのは約1時間半後だった。全国どこでもすぐ住民票が取れる、とのうたい文句で2次稼働した住基ネットだが、出だしからつまずいた格好になった。
芥川さんは「随分と時間がかかりますね。まあ、住基ネットで便利になるのもいいが、個人情報保護の面では心配だ」と話した。
このトラブルについて、全国サーバーのある地方自治情報センター(東京)は「サーバーへのアクセスが集中したためで、システムには異常はない」と説明している。
高知市では市内8カ所にある窓口センターにも住基ネット専用の窓口ができ、専用のパソコン端末が置かれた。これに伴い、専用端末を扱う職員の数も従来の3人から48人に増えた。秘密保持のために、担当職員にのみ端末起動用のICカードと暗証番号を渡し、それ以外の職員は端末を操作できないようにするという。
ICカードの独自利用なし 住基ネットの2次稼働とともに、本人確認が簡単にできる「住基カード」の交付受け付けも始まった。このカードには集積回路(IC)が埋め込まれており、自治体が独自に利用条例を定めれば、図書館の貸し出しなど他にも利用方法があるが、県内では独自利用の動きは出ていない。
高知市では、02年1月からIC付きの「よさこいタウンカード」を発行している。これを使えば自動交付機で住民票や印鑑登録証明書などを入手でき、約2万3千人の市民が利用しているという。同市の担当者は「今の段階では、さらに多額の経費をかけて新たなシステムを作り、住基カードに様々な機能を付け加えるメリットが見えなかった」と話す。
また、当面は住基カードがなくても住基ネットを用いたサービスの利用は可能。カードの発行には1枚500円程度の個人負担が必要なため、カードの発行想定枚数は高知市で5千枚、南国市で2千枚、その他の市町村では10〜500枚程度にとどまっている。
依然消えない安全への不安 住基ネットが1次稼働したのは02年8月5日。赤ちゃんからお年寄りまで、住民全員に11けたの住基コードが配られた。しかし、個人情報が十分保護されるのかどうか不安を感じる人も少なくなく、高知市では受け取り拒否が5445世帯に上った。同市の担当者は「セキュリティーへの不安の表れだとは思う」と話す。
しかし、住基コードの受け取りを拒否しても、各個人の氏名、生年月日、性別、住所、住基コードの各情報は自動的に登録されている。県内各市町村の個人情報保護への対策は万全だろうか。
県市町村振興課のまとめによると、個人情報保護条例を制定している県内の自治体は19市町村(7月1日現在)で、県内53市町村の3分の1強だ。同課の担当者は「市民の個人情報を適切に保有していくためにも、自治体ごとに個人情報保護条例を定める必要がある」と言う。
土佐市の個人情報保護条例は、外部に情報を漏らした場合の罰則を市職員だけでなく、市から個人情報の処理業務を委託された人にも適用し、違反すれば1年以下の懲役または3万円以下の罰金など厳しい規定を設けている。
〈メモ〉 県内で個人情報保護条例を制定している市町村は次の通り。(7月1日現在。県調べ)
高知市、室戸市、安芸市、南国市、土佐市、須崎市、宿毛市、土佐山田町、野市町、伊野町、池川町、大豊町、中土佐町、佐川町、檮原町、仁淀村、佐賀町、大正町、大月町
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http://mytown.asahi.com/kochi/news01.asp?kiji=2652
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