2003年08月26日(火) 00時00分
住基ネット県版受け/滑り出しトラブルなく(朝日新聞・)
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の本格運用が25日、県内でも始まった。集積回路(IC)付き住基カードの交付が始まり、居住地以外の市区町村でも住民票の写しの受け取りができるようになった。初日に目立ったトラブルはなかったが、個人情報保護についての懸念は消えない。カードを使って自治体が実施できる独自サービスを始めた市町はなかった。
高松市では午前8時半の開庁後すぐ、増田昌三市長がカードの交付を申請、カードを受け取った。「電子自治体への基礎。危険と便利さは隣り合わせだが、不安がらないで欲しい」
身内がいる大阪に行く機会が多いという蔭山美津子さん(63)は「向こうで何かあった時に便利かも」と申請。持っていたコンビニエンスストアの会員カードの個人情報が流出する騒動を経験したが、「プライバシー保護にちょっと不安はありますが、役所だから安心でしょう」と話していた。
県のまとめでは、県内で128人がカードの交付を申請、うち55人がカードを受け取った。昨年8月の1次稼働では、県のサーバーに自治体からの情報が届かないトラブルがあったが、今回は目立ったトラブルはなかった。
県によると、住基ネットとインターネットを接続しているのは県内では6自治体。長野県の田中康夫知事が分離対策を求めて議論を呼んでいるが、県は「ファイアーウオール(防護壁)の適切な管理で対応できると考えている」としている。
しかし、個人情報の漏洩(ろうえい)に対する不安の声も根強い。渡辺智子県議は「ファイアーウオールがあっても、外部からの不正侵入が起きないと断言できるのか。住基カードは、便利さよりも様々な個人情報が集約される危険性をはらんでいる」と話す。
渡辺さんは市民団体のメンバーらと、28日に高松市内でチラシを配り、住基ネットの問題点を訴えることにしている。
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条例を定めれば、住基カードを使った自治体独自の利用ができる。今のところ、独自サービスの条例を制定した市町はないという。
高松市は庁内に検討部会を設置しており、増田市長も「図書館や病院の診療での利用が考えられる」と意欲を見せている。また善通寺市は、導入に向けた実務者レベルの検討を始めているという。
しかし、カードがどれだけ普及するかがわからないため、独自サービス開始に二の足を踏むところもある。
香川町は、医療や福祉などの個人情報を記録したICカードを住民票や印鑑証明の自動交付に使っている。このカードには、住基カードに記録される氏名や住所などの情報も含まれる。すでに約3千枚が発行されており、町は住基カードへの切り替えも検討するものの「機械の切り替えも必要になるので、住基カードの普及次第」(住民課)としている。
また、「市民にとって有効なサービスがどんなものか、見極めたい」(丸亀市)、「カードが普及しないと設備投資しても割に合わない」(さぬき市)と慎重なところもある。
(8/26)
http://mytown.asahi.com/kagawa/news02.asp?kiji=5710
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