2003年08月26日(火) 00時00分
住基ネット本格稼働(朝日新聞・)
電子自治体 手探り発進 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の本格運用が25日、矢祭町を除く県内89市町村でもスタートした。住んでいる市町村以外で住民票の写しを受けられ(広域交付)、転入転出の手続きも転入時だけで済む。県によると大きな混乱はなかったが、全国的なシステム障害の影響や住民への広報不足、担当職員が操作に不慣れな場面もあった。手探りの中で「電子自治体」への道が始まった。
カード申請、全県で259人 県内ではこの日、計259人から住基カードの申請があり、118人に即日交付された。官公庁などで本人と確認するカードになり、あれば本格稼働した広域交付など二つのサービスの手続きも短時間で済む。
福島市では43人が申請、うち5人は運転免許証などを持参しなかったため、即日交付できなかった。同市は今年度中に約3千枚の発行を見込むが、高木信雄市民課長は「初日の件数としては予想通り」と話した。
会津若松市では交付は7枚だった。1500枚の発行を見込むが、「今後どれだけ増えるか見通しが立たない」(市民課)。同市では昨年4月、県内で初めて独自のICカード「Aoiカード」の実証実験を始めた。カードと暗証番号だけで住民票の写しや印鑑証明書が交付される。図書館の貸し出しや医療費助成の申請にも使える。
市内だけの利用では住基カードと差がない上、発行手数料は無料。すでに1万6千枚を発行した。住基カードは500円。市情報政策課は「当面2本立てだが、今後統一するか検討する」と話す。
人口約38万8千人と県内最大のいわき市ではこの日の交付は21枚。人口641人と最少の桧枝岐村は申請ゼロだった。年20枚の交付を予定する村住民課は「全世帯に総務省のパンフレットを配ったが問い合わせはなかった。もともと窓口に来るのは月に数人。期待できない」と話した。
■トラブルは 県市町村行政グループによると、全国の自治体から地方自治情報センターの全国サーバーにアクセスが殺到した影響で、福島市と二本松市、桑折町で4件、広域交付が遅れた。機器トラブルで広域交付ができない例も福島市で2件あった。
福島市では午前11時半、さいたま市の男性が広域交付を申請したが接続できなかった。男性の住所を入力しなかったため、アクセスで込み合う同センターに接続しようとしたためらしい。
住所の都道府県だけでも入力すれば比較的すいている都道府県のサーバーにアクセスできる。総務省や県の指示で、同市は住所入力の徹底をしたが、すでに男性は帰った後だった。
須賀川市では、市民課職員が自分の情報を使って同センターにアクセスしたが接続できなかった。「内部のテストで、市民生活に影響はなかった」としている。
■断固接続せず 住基ネットへの接続拒否を続ける矢祭町はこの日も、役場内だけのシステムで通常通り、住民票や印鑑証明書などの交付業務をこなした。永山雅英住民課長は「いつもと変わらない。本人確認用に『住基カードがほしい』という人もいない」と話した。
6月には県が地方自治法にもとづく是正を「勧告」、この数日、片山総務相が「何らかの法的措置を検討する」と発言、法的拘束力のある「是正の要求」を出すことを示唆した。だが、根本良一町長は「要求されたからつなぐという問題ではない。慌てる必要はなく、安全性の行く末を見据えて判断する」と話し、即座に応じる考えはないことを改めて示した。
(8/26)
http://mytown.asahi.com/fukushima/news02.asp?kiji=4596
|