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2003年08月26日(火) 00時00分

パート新指針 『努める』ばかりでは 東京新聞

 厚生労働省は、正規労働者とパート労働者の均衡処遇の考え方を取り入れた「パートタイム労働法」の改正指針を告示した。法制化への道を開くには、この指針を職場で広く活用することだ。

 改正指針で注目したいのは、職務が正規労働者と同じパート労働者の扱いだ。職務が同じで転勤なども同じ場合は処遇を同一にし、転勤などに違いがあれば能力や成果などに応じて、正規労働者と均衡を図るように「努めるもの」としている。

 今回の改正はこれまでの指針の「均衡」の中身を、より具体的にしているが、多くが努力目標になっている。これでパート労働者がどれだけ恩恵を受けられるのか疑問だ。

 総務省統計局によると二〇〇二年のパート労働者は千二百十一万人で、雇用者の四・三人に一人を占める。経営環境の悪化から、正規労働者を減らしてパート労働者に代える企業が増えている。

 パート労働者の七割を占める女性の時間給は女性正社員の64・9%(〇二年)にとどまる。九三年に「パート労働法」が施行されて以降、格差は開く一方だ。この差をどう是正するかが問題になっている。

 今回の改正は、正規労働者とパートの公正処遇を検討した労働政策審議会の「法的整備は必要だが、当面は…改正指針で…」とした報告を受けて、厚生労働省が行ったのだ。しかし、昨年夏に出された「均衡ルール」の法制化の必要性を明記したパート労働研究会の「最終報告」からは、かなり後退した感がある。

 改正指針はさらに、パート労働者が正規労働者に転換する条件整備や労使の話し合いを促しているが、更新を重ねた人を、これ以上雇わないという「雇い止めの禁止」や「不利益扱いの禁止」も、うたうべきではなかったか。

 指針の効果を上げるために、厚生労働大臣は事業者への助言、指導、勧告を積極的にしてほしい。パートの処遇改善の必要性を認める企業はおよそ半数、という調査がある。職場や労働組合はパートの処遇を公正にするため、今回の改正指針を活用してはどうか。

 さらに政府はパートの均衡処遇実現のため、国際労働機関(ILO)が九四年に採択した「パート条約」を批准する努力をすべきだろう。

 政府が処遇改善に積極的でないため、共産党は先の国会で廃案になった独自案の再提出を計画、民主党など野党三党も独自のパート法づくりを進めている。機は熟している。改正指針の適用は十月一日だが、一日も早い法制化を期待する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030826/col_____sha_____003.shtml