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「落ち着いたスタートですね」。横浜市中区役所の戸籍課長は、窓口を見ながらつぶやいた。午前中に十五人の申請があったが、午後は、交付を希望する人はまばらに。
カード受け取りに訪れた同市中区、税理士大田八郎さん(71)は「身分証明書代わりになるからいい。これからはカバンに入れて毎日持ち歩く」ときっぱり。不正使用された場合の罰則規定などが不備な点も「役所がやることなら間違いないだろう」と、迷わず写真付きのカードを受け取った。
「転勤が多いので便利」と話す同区の会社員女性(37)だが、写真はつけなかった。「私が欲しかったのは転居手続き簡略化だけ。身分証明は運転免許証を使う」
別の主婦(58)も「カードをもらったけど、情報が漏れたりしたら、やはり怖い。市内で参加しない人がいるのも分かる」と話した。
横浜市内十八区役所で交付申請した計三百五十八人のうち、二百二十五人がその場でカードを受け取った。市民局の担当者は「初日とはいえ少ない。今後のカードの機能を見極めようと様子をうかがっているのでは」と話した。
住基カードに図書館貸し出しや印鑑証明書交付機能といった独自利用サービスをつけた座間市。開庁前に三人が並んだが、その後の窓口は通常と変わらない。
同市の担当者は、窓口に訪れた人は女性の高齢者が多く、「運転免許を持たない人が証明書代わりに受け取ろうとすることが多い」と分析する。
町営施設の料金割引などを導入した湯河原町でも、住基カード発行数はわずか八枚にとどまった。初日だけで百枚を予想していた同町住民課は「もっと来ると思っていた」と、拍子抜けだ。
住基カードで湯河原、真鶴両町と静岡県熱海市の公営温泉施設や美術館計十四施設を半額以下などで利用できる。
しかし初日発行分とは別に、今月十八日から受け付けを始めていたカード発行予約も、この日までに七件。同課では「老人会や区長連絡会への連絡、テレビを通じた宣伝で広報不足はないはずなのに」と首をかしげる。
振るわない理由は▽住基カードと同額割引が利用できる町民証が、すでに普及している▽運転免許証などを持っていれば別の身分証明書は不要−などと分析する同町だが、町民からの問い合わせが二十−三十件あるとして、今後の“伸び”に期待をかける。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20030826/lcl_____kgw_____000.shtml