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2003年08月24日(日) 12時55分

住基ネット、25日から本格運用 完全不参加は2市町朝日新聞

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が25日、2次稼働し本格運用が始まる。昨年8月の1次稼働の際には、6市区町がネットに不参加、またはネットから離脱したが、現在も1市1町が個人情報の保護に不安が残るとして完全不参加を続けている。今後、総務省は一部住民が不参加の横浜市なども含め、参加への働きかけを強める方針だが、長野県はじめ安全性を疑問視する声はなお消えていない。

 住基ネットがスタートした昨夏の1次稼働では、市町村ごとに持っていた住所、氏名、生年月日、性別の本人確認4情報と住民票コード(番号)などの情報が登録された。行政機関同士で法律に定められた事務に必要な本人確認だけに使っている。

 25日からはこのネットワークを使った行政サービスが始まり、住基カードや運転免許証などを提示すれば、住んでいない市区町村でも住民票の写しが受け取れるようになる。またカード利用者は、転入転出手続きも簡素化される。カードは集積回路(IC)付きで、希望すれば、住んでいる自治体から交付を受けることができ、発行手数料は500円程度。総務省は今年度中に300万枚の発行を見込んでいる。

 当面は住民票取得などが中心だが、今年度中に、戸籍抄本の請求、婚姻・離婚届、一部国税局での確定申告など本人確認が必要な事務が、カードを使ってインターネットでも行えるようになる予定。総務省は「本格的なメリットを実感できるのはこれが実現してから」と見ている。

 一方、カードを使い、施設予約など市区町村独自の利用も想定されているが、独自利用に必要な条例を作った自治体は7月時点で45市区町村にとどまっている。

 住基ネットへの参加拒否を貫いているのは、福島県矢祭町と東京都国立市で、「住民の不安を考えると不参加の方針は変わらない」(矢祭町長)、「利便性より市民情報へのリスクが大きい」(国立市長)などとする主張を変えていない。

 一方、1次稼働に不参加または離脱した自治体のうち、東京都国分寺市と中野区は先の通常国会で個人情報保護法が成立したのを機に、再接続に転換した。ただ、2次稼働によるサービスはやや遅れる見通しだ。

 杉並区は「安全性確認まで希望者のみ参加」とする横浜市と同様の「選択制」移行を表明したが、総務省は「横浜は個人情報保護法がない時の特例。近い将来全員参加する段階制として認めたが、いまは状況が違う」と選択制を認めず、不参加の状態が続いている。

 不参加問題について、片山総務相は23日、盛岡市での記者会見で「できるだけ話し合うが、違法な状態をいつまでも残しておくわけにはいかない」と述べ、地方自治法に基づく「事務の是正要求」も視野に入れていることを示した。

 ただ、独自のシステム検討を表明した長野県などから市区町村で庁内LAN(構内情報通信網)の安全性にばらつきがあり、それがインターネットにつながっていることから不正アクセスの危険性を指摘する声が上がっている点は、総務省も意識している。批判に配慮して自治体の庁内LANの安全対策にかかる経費を特別交付税で支援したり、自治体職員の研修を強化したりする方針だ。(08/24 12:54)

http://www.asahi.com/politics/update/0824/001.html