2003年08月18日(月) 12時19分
<冷夏>お盆明けに野菜高騰 東京・大田市場(毎日新聞)
雨続きの涼しいお盆が明けた18日、東京・大田市場では、ネギが例年の倍以上の値を付けるなど野菜が高騰した。低温と日照不足続きの不作が原因で、冷夏となった93年以来の凶作になる可能性が出てきた。農家の悲鳴が聞こえてくる。
大田区の大田市場では、4日ぶりに競りが行われ、品薄となったネギやジャガイモ、レタスなどが高騰した。
市場によると、ネギは高値のもので、1箱(5キロ)例年なら2000円弱のものが5000円を超す勢い。また、ジャガイモは1箱(10キロ)が高値2000円台で、昨年同期比で約5割高。レタスは、10キロが高値のもので3500円を超し、昨年同期比で約2割高となった。
一方、トマト(4キロ)は、高値で例年2000円程度のものが、1000円台にまで急落した。市場では「各地の産地で収穫が遅れたものが、一気に市場に出たため」と説明している。
埼玉県川口市の中卸業、高橋和成(かずしげ)さん(64)は「ネギ以外でも、ナスやキュウリなどは花は咲くけども日照不足で育たないようだ。品薄では商売にならない」と話した。
◇収穫大幅減、農家も悲鳴
年間5万トンの出荷量で全国一のレタスの産地・長野県川上村。高原レタスの収穫は最盛期を迎えている。小雨が降る中、両親ら5人で収穫作業をしている同村樋沢、今井大貴さん(36)は7ヘクタールでレタスを栽培。「今月2日の梅雨明け前後に数日照っただけで、以来ずっと雨降りや曇り。日照不足と低温続きで玉伸びが悪いうえ、ベト病や軟腐病がまん延し、収量は例年の2〜3割減」と厳しい表情だ。
9月中旬に収穫する最後の種まきを19日まで行うが「早く暑さを取り戻してほしい」と、どんより空にうらめしそう。18日は午前中に10キロ入り300ケースを取り入れるという。
トマトを約30アールの畑で生産している千葉県旭市神宮寺の石毛博志さん(54)は「湿気が多く病気が発生し困っている。日照不足のため実が大きくならず、収穫できても小玉になりそう。昨年に比べて収穫量は2割減少するだろう」と困惑した表情で話す。
トマト農家の同市中央、伊藤信雄さん(51)も「東北地方と出荷が重なり価格が暴落した。今までに例のない安値で収入は5割減。色付きが悪く病気もまん延している」と大打撃に声を荒らげていた。
◇コメも10年ぶり高値
自主流通米の入札はすでに始まっているが、市場の品薄感が高まり、価格が高騰している。自主米センターによると、12日に行われた早期米の入札では、宮崎産コシヒカリが約500トン上場され、2万4000円(60キロ)の落札価格をつけた。
申し込み倍率は8・7倍で、同品種としては冷夏で凶作となった93年以来の高値だという。先月30日の入札では1万7000円で、2週間で一挙に7000円の急騰となったり、市場が冷夏によるコメ不作に敏感に反応する結果となっている。
また、民間調査機関の米穀データバンク(東京)の収穫予想では、平年を100とした作況指数の全国平均は94の「不良」。「著しい不良」を意味する指数90以下が青森、宮城、福島など5県あった。
農林水産省生産局は「今の時期、稲は開花して受粉するが、低温だとその動きが鈍る。今後の天候にもよるが(冷夏で)稲にとっていい状況にはない」と警戒感を募らせている。
一方、政府は10年に一度程度の作況指数92に対処できる100万トンを適正備蓄としているが、6月末現在で163万トンあるという。このため低温が続いて凶作に陥っても93年のような米不足に陥る可能性はきわめて低いという。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030818-00001038-mai-soci