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長野県の田中康夫知事は15日記者会見し、県内の22自治体で住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が物理的にインターネットに接続していることついて「安全が担保されていない」とし、複数の市町村と協力して住基ネットへの侵入ができるかどうかの実験を行う方針を明らかにした。インターネットからの分離が済むまでは、住基ネット関連の業務は、フロッピーディスクなどで情報をやり取りするよう要請する。また総務省の外郭団体「地方自治情報センター」へ委託している情報管理などの事務について見直す意向も示した。
田中知事は現行の住基ネットシステムについて「総務省側が言う国、都道府県、市町村がピラミッド型になったシステムではなく、市町村同士もネットワークでつながっている。県として離脱はでき得ない」としたうえで、各市町村内部のネットワーク(庁内LAN)を経由してインターネットと住基ネットがつながっている県内22自治体に対し、「早急に分離対策を取るよう要請する」と述べた。このうち複数の自治体から、インターネット側から住基ネットへの侵入が可能かどうかを試みる実験について同意が得られたとして、「可及的速やかに実施したい」とした。
また「国の外郭団体が一元管理する現行システムは個人情報の漏洩(ろうえい)の危険がある」として、「地方自治情報センター」への委託事務についても再検証し、市町村と相談しながら県の対応を検討する考えも明らかにした。
田中知事は会見で、「市町村同士の情報のやり取りは地方自治情報センターの監視外で、ここでの情報漏洩の責任は市町村が負うことになる。万全とは言えない、県民益に反する状態だ」と話した。
県の審議会は5月末、一部の町村で住基ネットとインターネットが庁内LANを介して物理的に接続していることなどを指摘し、「個人情報保護の対策が不十分」として、「住基ネットからの当面の離脱」を県に提言。県の判断が注目されていた。
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住基ネットのセキュリティー対策についての長野県の4方針
(1)数市町村を選定し、実際に侵入が可能か、検証実験の実施
(2)インターネットに接続している22自治体に早急の分離対策実行と分離完了までフロッピーディスクによる情報のやりとりの要請
(3)各都道府県へインターネットとの分離を依頼
(4)地方自治情報センターへの委任事務を再検証し、市町村の意見を聞きながら県の対応を検討する
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総務省は田中知事の会見を受け、「庁内LANが物理的にインターネットと接続していても、セキュリティーを十分確保できる。地方自治情報センターへの委任事務の再検証にも言及しているが、長野県がセンターの役割を担うとすれば多額の経費負担が必要で、他の都道府県にも多大な迷惑がかかる」とのコメントを発表した。
(08/15 21:16)