2003年08月07日(木) 13時20分
メール配送の仕組み(1)(japan.internet.com)
今このページを見ている皆さんに「ブラウザ以外でよく使うインターネットアプリケーションをひとつあげてください」と尋ねたら、おそらく多くの方が「メールソフト」と答えるのではないでしょうか。
電子メールは、最もよく使われているインターネットアプリケーションのひとつといって、間違いないでしょう。
では、なぜ電子メールは、相手に正しく届けられるのでしょうか。
自分のメールソフトと相手のメールソフトが直接電子メールを交換するわけではありませんし、もちろんインターネットでは郵便局のオジサンが配達してくれるわけでもありません。※1
そこで今回から数回にわたって、メール配送の仕組みとそれを支える技術について眺めていきたいと思います。
■メール配送の概要
まず最初に、自分が電子メールを出してから相手に届くまで、どういった経路をたどるのかを見てみましょう。
(表1)
送信者がメールソフトで「送信」ボタンをクリックすると、送信者のメールソフトはメールサーバーのメールソフトと SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)というプロトコルで通信をおこなって、メールを送信します。
このように送信者(エンドユーザー)の使うメールソフトと、サーバーがメールを受け取ったり配送するメールソフトを混同しないように、エンドユーザーが使うメールソフトを MUA(Mail User Agent)、サーバーで動作しているメールソフトを MTA(Mail Transfer Agent)と区別して呼びます。
MTA は電子メールを受け取ると、宛先のメールボックスを持っているサーバーを探して、そこの MTA と通信して電子メールを転送します。もし宛先のメールボックスを持っているサーバーと直接通信できない場合は、宛先のメールボックスを持っているサーバーと通信できるサーバーに中継してもらいます。
ちなみに、この仕組みが「インターネットの電子メール配送はバケツリレー」と呼ばれるところで、中継するサーバーの管理者は電子メールの中身を見ることも可能なことから、「電子メールのセキュリティはハガキ並」といわれる所以でもあります。
話を戻すと、最終的に電子メールを受け取った MTA は、電子メールの宛先メールボックスが自分のサーバーにあるとわかると、電子メールをメールボックスに保管します。ちょうど自宅のポストや私書箱に郵便物が届いたイメージです。
受信者の MUA は、ユーザーの操作に応じて(設定によっては自動的に)POP(Post Office Protocol)または IMAP(Internet Message Access Protocol)というプロトコルでメールボックスをチェックして、もし電子メールが届いていたら、それを取り出します。これでようやく、送信者のメールを受信者が読むことができるようになります。
メール配送のステップは、だいたい以上のような流れで進みます。
それでは次回以降、各ステップごとにどのような処理がおこなわれているのか見ていきたいと思います。
※1…一部のメールソフト
http://www.postpet.so-net.ne.jp/ ではロボット配達人が配達してくれるように見えますが、もちろんこれはアプリケーションがそのように見せているだけです。
(執筆:佐藤 僚)
記事提供:
株式会社ネットエイジメルポッド開発チーム
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