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漫画家小林よしのり氏の漫画「新ゴーマニズム宣言」で「ドロボー」などと書かれて名誉を傷つけられたとして、関西大講師の上杉聡氏が、小林氏と発行元の小学館に約720万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。西田美昭裁判長は、名誉棄損の成立を認め、請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更し、250万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じる逆転判決を言い渡した。
問題となったのは、雑誌「SAPIO」(小学館)97年11月26日号の漫画。上杉氏が従軍慰安婦問題などに対する小林氏の見解を批判する「脱ゴーマニズム宣言」という本を書いたところ、小林氏が同誌で反論。引用部分について「無断で盗んだ」などと表現した。
この日の判決は「上杉氏が引用した部分は著作権侵害にあたるとまではいえない」と名誉棄損の成立を認めた。上杉氏は「無断で似顔絵を描かれたのは肖像権侵害」とも主張していたが、この点は一審判決と同様に退けた。
東京地裁は昨年5月、「『ドロボー』は比喩(ひゆ)的な表現で、意見または論評の域にとどまる」などと請求をすべて退けていた。
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判決後、上杉氏は記者会見し、「漫画でも名誉棄損になることがはっきりした。社会人としてモラルを逸脱することは許されない」と話した。
一方、小林氏の代理人は「漫画による社会問題の論評という新しい言論活動の意味合いについて、正しく理解されなかったのは遺憾だ」と述べ、SAPIO編集部も同様のコメントを出した。(07/31 19:52)