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2003年07月30日(水) 00時00分

ヴィトンなど海外ブランド相次ぐ値上げ強気経営の陰で淘汰もZAKZAK

 長引くデフレをよそに、海外の高級ブランド各社の値上げが相次いでいる。ユーロ高が直接の原因だが、背景にはブランド好きの日本の若者層への浸透を見込んだ強気の経営戦略がある。市場が頭打ちとなる中、「ブランド消費大国」でのパイの奪い合いは激しくなる一方で、今後は淘汰(とうた)も進みそうだ。

 ▽若い男性が狙い

 「日本では若者が重要なターゲット。25歳前後の若者が、高い価格帯でもスーツなどを買っている。成長が望める」

 クリスチャン・ディオールが、一部定番商品の平均10%値上げを発表した17日、来日したフランス本社のシドニー・トレダノ社長は、従来の女性客に加え、若い男性層のブランド志向が、今後の同社の成長を支えると強調した。その口調は、値上げによる消費者離れの懸念とは無縁だった。

 同社は、日本での売上高を公表していないが、世界全体の約2割を占めており「06年までに、倍増させる。07年には300億円を超えるだろう」(トレダノ社長)と強気だ。

 ▽世界最大店舗

 値上げは、トップの売り上げを誇るルイ・ヴィトンが既に実施。セリーヌも8月1日から革製品全般について平均5%の価格改定を行う予定だ。

 「もともと高価なもので、消費者は価格よりも『物』で買っている。値上げ直後の一時的な落ち込みはあっても、長い期間で見れば業績に響かない」(業界関係者)との読みもあるようだ。

 「ブランド戦争」最前線の東京・銀座では、各社の旗艦店が大通りに面した超一等地に進出。カルティエは19日、世界最大の店舗をオープン。今年に入ってからでもプラダ、フェラガモが出店し、来年以降も計画がめじろ押し。大阪・心斎橋にも、04年にディオールが出店予定だ。

 ▽勝ち組、負け組

 しかし、華やかな出店攻勢の陰で「昨年の後半から、有力ブランドからも不況の影響を実感する声が出てきた」(矢野経済研究所)。

 同研究所の調査では、02年に前年比5.5%減の1兆2578億円となった市場規模は、今年さらに縮小する見込みで「ここ20年間で最も厳しい状況に直面している」と分析する。

 市場では「勝ち組」と「負け組」が鮮明化しつつある。イタリアのトラサルディーが、業績不振から店舗閉鎖に追い込まれたほか「ここ数年ブーム的に伸びたブランドは、勢いがなくなってきた」(業界関係者)との指摘も出始めた。強気の経営と縮小する市場。ブランドビジネスは正念場を迎える。

ZAKZAK 2003/07/30

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_07/1t2003073015.html