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2003年07月29日(火) 03時00分

観察官名で「幸福の科学」書籍送付 愛知県内の保護司へ朝日新聞

 愛知県内で、保護観察中の少年や仮出所した受刑者らの社会復帰を手助けしている保護司の多くに、宗教法人「幸福の科学」の書籍や行事などを紹介する文書が、現職の保護観察官を差出人として送られていたことが、関係者の話で分かった。受け取った保護司から、名古屋保護観察所に問い合わせや苦情が寄せられたことから、今月11日、熊坂俊二所長名で「保護観察所とは一切関係ない」とする文書を、苦情のあった保護区の保護司に送付。法務省中部地方更生保護委員会(名古屋市)などは保護司の名簿などが使用された可能性も含め調査に乗り出した。

 文書の中で、差出人になっている保護観察官は、一昨年まで名古屋保護観察所に勤務し、現在は他県の保護観察所に勤務している、と説明している。

 この観察官が現在勤務する保護観察所や、名古屋保護観察所、上部機関の中部地方更生保護委員会の話を総合すると、保護司に送られたのは、幸福の科学出版発行の月刊誌に掲載された記事のコピーや書籍。

 同封の文書では、この観察官が教団の支部施設の一角を借り、休日ボランティア相談員としての仕事に取り組みたいとしているほか、書籍を「職務の一助となり、幸福の科学の素晴らしさの一端に触れていただく機会となれば幸いです」と紹介している。さらに、「追伸」として、教団の法話ビデオの上映会の日程が掲載されている。

 名古屋保護観察所には今月上旬、「本当に保護観察官からなのか」「こういうことはよくない」などの問い合わせや苦情が20件ほど寄せられたという。同観察所は、だれが送付したかは把握していないとしたうえで、県内の複数の保護区や支部などに電話で確認した結果、2200人いる保護司のおよそ半数に送られたと推測している。

 この保護観察官が現在勤務する保護観察所が、本人から事情を聴いたところ、教団の支部で「本を保護司にプレゼントしたい」と言うと、一緒にいた仲間や友人が「いいじゃない」と同意したため、「じゃあ頼むね」と話したことは認めたとしている。

 しかし、「名古屋で担当していた親しい保護司に本を差し上げたかったが、それ以外の人に送られるとは思わなかった。案内文はこんな内容にしたらと電話で話しただけで、自分は書いていない」としており、保護司の名簿類についても、外部には渡していないという。

 現在勤務する保護観察所は「個人の名前ならともかく、保護観察官の名前で出すのはまずい。保護司の中には、宗教活動ととらえ、不快に思う人もいるだろう。官職を利用しているととられかねない」とコメント。中部地方更生保護委員会は「保護観察官という名で送られたことが問題。保護司の方々に迷惑をかけたことは行政として申し訳なく、あってはならないこと。事実関係を調査して二度と起こらないようにする」と話している。

 朝日新聞社は、事実経過を確認するために、幸福の科学と差出人となっている保護観察官に取材を申し入れたが、応じてもらえなかった。

    ◇

<保護司と保護観察官> 保護司は、保護観察中の少年や仮出所した受刑者らと定期的に暮らしぶりを話し合ったり、就職先を確保したりして社会復帰を助ける民間のボランティア。法務大臣から委嘱を受け、身分は国家公務員となる。保護観察官は、心理学、教育学、社会学などの専門知識を持つ国家公務員。保護司と協力して社会復帰を支え、保護観察中に問題が起こった場合などに保護司を指導する。(07/29 02:59)

http://www.asahi.com/national/update/0729/004.html