2003年07月29日(火) 20時49分
ウイルス感染可能性の血液製剤6400本、回収13本(読売新聞)
肝炎ウイルスなどに感染していた可能性があるのに、検査をすり抜けた輸血用血液製剤が、昨年6月からの13か月間に約6400本も全国の医療機関に供給されていたことが29日、分かった。
このうち、未使用のまま回収できたのは13本だけで、残りのほとんどが輸血に使用されていた。厚生労働省から報告命令を受けた日本赤十字社が同日、調査結果を明らかにした。
調査対象は、昨年6月13日—今月21日の間に採血された延べ598万451人の献血血液。このうち採血後の検査で、肝炎ウイルスなどに感染している疑いが判明した献血者の前回の献血を追跡調査した。その結果、前回の検査をすり抜けた可能性があるのは7091本あり、うち6419本が医療機関に供給されていた。
輸血製剤のうち、外科手術などで使われる「新鮮凍結血漿(けっしょう)」は有効期間が1年間あるため、供給前に長期保管しておけば、回収できる可能性が高まる。6419本のうち523本が1年以内に採取された新鮮凍結血漿で、回収できる可能性があった。しかし、日赤側は保管を行っておらず、感染の疑いが判明した時点で、ほとんどが使用されてしまっており、回収できたたのはわずか13本。このうち、11本がB型肝炎、2本がC型肝炎のウイルス感染の疑いがあった。
同血漿の保管を行ってこなかったことについて、日赤側は、「献血者の75%は年に1回しか献血しないため、保管しておいても回収できる可能性は低い」などとしている。
調査結果について、厚労省血液対策課は「今回判明した6400本が原因で感染する可能性は極めて低いが、危険性はゼロではない」として、今後も、日赤に対し継続的に調査と回収を行うよう指導する方針。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030729-00000015-yom-soci