悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
商品やサービスの価格表示が、来年4月から消費税額を含む「総額表示」に変わる。システム変更などで、小売りをはじめとする各業界はコスト増になるだけでなく、1円未満の消費税を、自社で負担するか、消費者に負担してもらうか、という問題でも頭を悩ませている。
総額表示の義務づけは昨年末の税制改正で決まり、今国会で法改正された。現在は(1)本体価格だけで消費税額は含まない「外税方式」(2)税額を含む「総額(内税)方式」のどちらも認められている。百貨店やコンビニでは外税方式が定着しているが、来年4月以降は認められなくなる。
財務省は総額表示の義務づけは「消費者にわかりやすくするため」と強調するが、消費者団体などには「将来の消費税増税時に、税額をわかりにくくする狙いではないか」との声も出ている。
総額表示で、スーパー業界全体ではレジのシステム変更などの費用が100億円を大きく上回る見込みだ。日本チェーンストア協会は「価格表示でお客から文句はなかった」と反発しながらも、協会傘下のスーパーは来年4月から税込みの総額のみを表示する方針。大手スーパーが試験的に総額と税額を併記したチラシを作ったところ、「読みにくくなった」という苦情が社内から出たからだ。
ただ、消費税の1円未満の端数処理は未解決のままだ。これまで50円の商品の消費税2円50銭について、小売店の大半は50銭は切り捨てて52円で販売し、財務省も端数切り捨てを特例として認めてきた。だが、財務省は総額表示化で特例を廃止し、50銭分の消費税も徴収したい意向だ。
特例が廃止されれば、小売店は52円か53円かを決めることになるが、52円では50銭分を店側が自己負担する形となり、53円だと消費者の負担増になる。全体の売り上げを考えると相当な額になるため、財務省に特例の維持を求めているが、結論は出ていない。
消費科学連合会の犬伏由利子副会長は「端数処理の問題は消費者の負担増となる可能性が高い」として、総額表示義務づけの中止を訴える。
出版物は現在、「本体価格○○円+税」と消費税額を記入しないのが一般的な表示方法だが、日本書籍出版協会など関連4団体が財務省と協議した結果、本にはさむ紙の定価カード(スリップ)の先端部分に総額を明記すれば、本体の表示は現行通りでも認められることになった。7月から新刊や既刊の増刷時に新定価カードを導入する。
ビデオやDVDなどのソフト業界は、価格部分にシールを張ることを検討中。「富山の薬売り」として知られる家庭常備薬の販売業界は、総額表示による価格表を全国約3万人の配置員が各家庭に配る予定だ。
◇
<消費税の総額表示の例(04年4月から)>
【認められるもの】
・1050円(本体価格1000円、消費税50円)
・1050円(うち消費税50円)
・1050円(本体価格1000円)
・1050円(税込み)
・1050円
【認められないもの】
・1000円(税50円)(07/29 12:25)