2003年07月28日(月) 03時56分
<国立大学>サイバーテロ対策 整備完了は約2割(毎日新聞)
大学教育機関のネットワークセキュリティーの甘さが指摘される中、文部科学省が全国99の国立大に策定を求めた「情報セキュリティーポリシー」(サイバー攻撃から情報・データ、システムを防御する基本方針)の整備が2年余りで約2割にとどまっていることが、27日分かった。文科省は「策定率の低さは目立つが、大学の特殊性もある。着実に取り組みたい」としている。【粟飯原浩、田倉直彦】
文科省は01年6月、国立大などにセキュリティーポリシーの策定を求める文書を出した。同省のセキュリティーポリシー概要などを示して策定を促したが、整備されたのは01年度に5、02年度11、今年6と2年間で99のうち22大学と、22%にとどまっている。
セキュリティーポリシーは、組織内の情報セキュリティー対策の基本方針や手法を示すもので、セキュリティーのぜい弱性を洗い出し、意識の向上にもつながるとされる。組織内への攻撃だけでなく、外部への加害行為に対する抑止効果もある。
昨年度、国立大学が受けた不正アクセスなどの攻撃は、文科省に届けられただけで609件に上る。多くがウイルス感染だが、先月には、神戸大学(神戸市灘区)のサーバーが不正侵入され、米航空宇宙局(NASA)のサーバーを攻撃するようプログラムを仕掛けられていた極めて悪質な事態も判明した。
関西にある国立大学の学内情報ネットワーク担当者は「大学は研究者、職員、学生とネットワークの利用が幅広く、企業のような一律的な規制や監視は難しい」と話す。
文科省情報化推進室は「大学のネットワークセキュリティーがぜい弱なのは認識している。しかし、指導などでポリシーを無理やり作るより実効性が重要。調整中のところも多く、セミナーなどを実施して、様子を見たい」としている。
浅野正一郎・国立情報学研究所教授の話 国立大もようやくセキュリティーポリシーについて体制を整え始めたと感じていた。しかし、「開かれた大学」とは相反し、ジレンマも多い。進んでいる大学が情報を開示し模範にしていけば、もっと普及が進むだろう。
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