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2003年07月25日(金) 22時34分

破産法改正要綱案まとまる 簡易手続きを新設朝日新聞

 破産手続きの迅速化を図る破産法改正の要綱案を25日、法相の諮問機関である法制審議会の部会がまとめた。手続きを使いやすく改める一方、破産者の財産開示義務を明記するなど公正さにも配慮した。破産手続きの見直しは96年から始まった民事再生法、会社更生法などの倒産法制改正の締めくくりで、法務省は次の国会に改正案を提出する。

 破産手続きは、破産者に財産がなければ短期間で終了するが、債権の割り振りでもめたり、現金化に手間取ったりして1年を超える例が年間で1万2000件と全体の5%強もあり、現行法での迅速化には限界があった。

 特に長期化しがちなのが債権者が多い大規模破産だ。要綱案では破産の規模ごとに特則を設定。債権者が1000人以上の場合、本社所在地に限らず、破産専門部がある東京・大阪両地裁への申し立てができるようにし、素早い解決を目指す。ゴルフ場の破産や集団消費者被害の原因企業の倒産などを想定している。

 破産財団の財産総額が1000万円以下と小さい場合は、貸借対照表の提出や債権者に対する配当公告を不要にする簡易手続きを新設。1000万円を超える場合でも債権者に異議がなければ、こうした簡易な手続きを選べるようにした。このほか、債権の確定に必要だった破産者相手の訴訟手続きも廃止するなど厳格すぎる手続きを省いた。

 一方、手続きの公正さを図るため、破産者には預金、不動産、有価証券などの重要財産を裁判所に届け出る義務があることを明記。違反した場合は免責を認めない罰則が科される。現行法では訴訟を起こすしかない破産会社の役員への損害賠償請求についても、破産手続きの中で裁判所が査定できるようにした。

 また、破産会社の労働者の給料債権について、踏み倒されることがないよう、ほかの債権よりも優先して弁済される財団債権に格上げし、弁済範囲を破産手続き開始前の3カ月分と退職手当としての3カ月分と定めた。

 破産件数のほとんどを占める個人破産の手続きも見直し、破産者が手元に残せる自由財産を21万円から90万円程度に増やす。個人再生手続きの利用条件も緩和し、負債総額の上限を3000万円から5000万円に引き上げた。

(07/25 22:33)

http://www.asahi.com/national/update/0725/041.html