2003年07月22日(火) 03時41分
<郵便貯金>盗難通帳の被害は28億円 昨年度1400件(毎日新聞)
全国の郵便局で、盗難通帳を使った不正な貯金の引き出しが昨年度1年間で計約1400件、総額約28億円に上っていたことが21日、日本郵政公社の調査で分かった。銀行はこうしたデータを集計していないが、預金の規模などから推計すると被害額は少なくとも100億円近くに上るとみられる。この問題をめぐっては、過失を認めず被害金の返還に応じない銀行側を相手取った返還請求訴訟が全国各地で起こされるなど社会問題化しているが、被害の全体像が明らかになったのは初めて。
不正引き出しの被害者を支援する「預貯金過誤払被害対策弁護団」(事務局・東京都)や捜査当局などによると、ここ数年、ピッキングなどによる空き巣被害が続発し、これに伴って預貯金通帳の盗難が急増している。通常、届け出印は厳重に保管されていることから、通帳だけが盗まれるケースが多い。
ところが、窓口の預貯金引き出しは原則、通帳と印鑑だけで本人確認をするため、通帳に残っている印影をパソコンで偽造するなどすれば、第三者が窓口で引き出すことが可能だという。
こうした被害について、金融機関側はこれまで集計を行っていなかったが、今回、郵政公社が初めてデータをまとめた。それによると、昨年度の被害は全国で1396件、27億8000万円に上る。
この問題では、被害者の多くが「窓口確認をしっかり行えば被害は防げた」と金融機関に被害金の返還を要求。郵便局は「確認が不十分だった」として返還に応じるケースが多いが、銀行は「肉眼での印影照合で十分で、銀行に責任はない」として拒否する場合が大半だ。同弁護団が支援するだけでも、全国で約100人が銀行などを相手取って総額約9億円を請求する訴訟を起こしている。【江田将宏】(毎日新聞)
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