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東京・渋谷の繁華街。ごった返す人込みの中で、若い女性に声を掛ける男もいれば、ビラを配ったり、アンケートを求める男性もいる。興味本位か、薄く化粧をした女子中学生らが男らの求めに応じていく。大都会の一角では、日常的に見られる光景だ。
監禁された女児らも、こうした繁華街の暗部にはまった、ともいえる。四人のうちの一人が、渋谷で「いいアルバイトがある」などと記したチラシをもらい、事件へと発展した。そこに書いてあった男の携帯電話に連絡を取り、指定の場所に出向いて、ほかの女児三人とともに連れ去られ、監禁されてしまった。
子どもをターゲットにした誘惑は、なにも繁華街だけではない。携帯電話やパソコンを使った出会い系サイトは、いまや小学生でも利用している。インターネット上には、性的な情報が氾濫(はんらん)している。以前とは比べものにならない情報量だ。
売春行為を「援助交際」、ちょっとした家出を「プチ家出」などと言い換え、ことの本質をカムフラージュしてしまうような社会も、子どもの判断力を鈍らせている。
子どもを取り巻く環境の悪化とともに非行少年も増えているが、被害に遭う子どもも増えている。刑法犯罪の被害者になった少年少女はこのところ年間四十万人を超えている。
女児四人の監禁事件を重く見た遠山敦子文部科学相は十八日、子どもが被害に遭うのを防ぐために家庭や学校、地域社会が一体とならなければならない、と語った。全国の教育長が集まる二十二日の会議でも呼びかける、という。
谷垣禎一国家公安委員長も「夏休みが始まるので」と強調した上で、学校で注意するとともに、警察も必要な情報を教育委員会に提供していきたい、と述べた。
約四十日間に及ぶ夏休みは、小、中学生にとって心も緩みがちとなり、繁華街へ出かける機会も増える。インターネットなどを扱う自由時間も、おのずと多くなる。
学校と家庭、地域が連携し合って子どもを守る。三者間の連絡網を確立し、近所の子どもの情報を共有する。服装に変化がでるなどしたら要注意…。これまでにもさまざまな対策が出されている。
問題は、どれほど真剣に実効あるものにするか、だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030719/col_____sha_____002.shtml