2003年07月18日(金) 11時23分
<日栄訴訟>利息計算は「法を逸脱」 最高裁が初判断(毎日新聞)
商工ローン最大手「ロプロ」(旧・日栄、京都市)の融資を巡る訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(滝井繁男裁判長)は18日、利息のほかに信用保証をする子会社が保証料などを徴収することを「法を逸脱している」とする初判断を示した。同種の争点の訴訟は、同社関係だけでも数百件あり、業界へ大きな影響を与えそうだ。同小法廷は「子会社の受ける保証料は、みなし利息に当たる」と指摘した。
訴えていたのは、ロプロの融資を受けた企業の連帯保証人2人。98年にこの企業が倒産したため、保証限度額の計800万円を弁済したが、「利息を不当に多く支払わされた」として、そのうちの626万円余を返すよう求めていた。
貸付金利が利息制限法の上限(100万円以上で15%)を超えていたことから、ロプロ側も過払い分の返還は争わなかったが、この際に(1)ロプロに信用保証する子会社「日本信用保証」の保証料(年利6.5%相当)は、利息に含まない(2)借り手が利息以上の返済をしても、元本の額には反映されない——とするロプロの計算方法が、妥当かどうかが問題になった。
この2点は1、2審で判断が一部異なり、全国の同種の訴訟でも高裁レベルの判断が割れていた。
第2小法廷は判決で、子会社による保証料の天引きについて「ロプロは保証料を還流させる目的で、子会社に保証委託させていた」と指摘した。また、元本計算についても「利息以上の返済をすれば元本は減り、それ以前と同じ利息を取り続けるのは誤り」と判断した。
そのうえで、保証人が支払う金利を計算し直すべきだとして、審理を高裁に差し戻した。1審・東京地裁は493万円余、2審・東京高裁は358万円余の返還を命じていた。
ロプロ側によると、同社や日本信用保証が当事者となっている訴訟は、最高裁でほかに25件、全国の地裁・高裁で約600件あるという。【清水健二】
◇商工ローン
中小・零細企業を対象に、無担保で連帯保証人を付けて手形貸し付けの形で融資をする貸金業者。バブル崩壊後に急成長したが、高金利や過剰融資、違法な取り立てが社会問題化した。これを機に99年、出資法が改正され、融資の上限金利は年40・004%から29・2%に引き下げられた。金融庁によると、罰則のある利息制限法の上限を超えた年利20%超で融資している会社が多いという。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030718-00001027-mai-soci