2003年07月09日(水) 03時05分
仲介業者が留学費用1200万円持ち逃げ(読売新聞)
留学仲介会社「アイイーシー国際センター」(東京都渋谷区、佐藤真一社長)が突然営業を停止し、顧客が支払った留学費用が返還されない事態になっていることが8日、分かった。被害者は約40人、被害総額は約1200万円に上ると見られる。顧客らは、強く返還を求めているが、会社側は「社長が会社の金を持ち逃げした」と説明しているという。
同社は主に英語圏の語学学校への留学手続きを代行している。1995年に設立され、一時は年間約300人の留学生を扱う中堅業者だった。関係者によると、昨年8月ごろから業績が悪化していたという。
5月12日、佐藤社長が行方不明になり、不審に思った従業員が会社の口座を調べたところ、220円しか残っていなかった。
同月28日には債権者集会が開かれ、同社に出向している社員という男性が、債権者代表として顧客や取引先企業に経緯を説明した。
それによると、顧客から費用が払い込まれているのに、留学先に渡っていないケースが少なくとも37件あるほか、取引業者への未払いもあり、未払い金は計約3000万円に上った。
しかし、この男性は「警察に被害届を出すには、被害を確定するのが困難で、民事訴訟でも代金を回収できる見込みはない」などと発言、6月に債権者代表を退いた。
会社は5月末で事務所を引き払い、営業は行われていないが、倒産の手続きなどはとられていない。同社のオーナーで、不登校生徒の学校などを経営している男性(75)は「経営に参加していないため、詳しいことは分からない。借金の連帯保証人になっており、私も被害者だ」などと話している。
顧客の1人、茨城県古河市の元OL(25)は、カナダへ半年間、語学留学する予定で、勤め先の会社も辞めた。出発直前の5月20日、アイイーシーから「留学はできなくなりました」と電話連絡があったという。
同社に払い込んだ約130万円のうち、航空券は旅行業協会から弁済されたが、残る八十数万円は返済されていない。警察にも相談したが、「社長が持ち逃げしたのなら、会社は被害者ということになる。顧客の被害回復は民事上の問題」と言われたという。
一方、長野県木島平村の男性会社員(50)は同月、米国に留学している長男(19)から「授業料と滞在費が入金されていないと大学側から言われた」と連絡を受けた。
同社にはすでに、170万円以上を払い込んであり、不審に思って問い合わせたところ、従業員から「社長が会社の金を持ち逃げした」と告げられた。米の大学側から「入金がなければ息子さんは強制送還されることになる」と言われ、さらに約80万円を支払った。
日本旅行業協会は「留学仲介業者は、届け出も許可も必要ないので、行政の監視が行き届きにくい。信頼できる業者かどうか、顧客自身が判断するしかないのが現状だ。今後、こうしたトラブルは増えるのではないか」と話している。(読売新聞)
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