2003年07月09日(水) 22時20分
<東証>ネット証券活況 軒並み過去最高を更新(毎日新聞)
東京証券取引所第1部の出来高は9日も14億株に達し、5月29日から30営業日連続の10億株超えになった。連日の大商いによって、個人投資家相手の営業に特化しているインターネット専業証券の6月の売買代金は、軒並み過去最高を更新。7月に入っても記録更新が相次いでいる。ただ売買注文の殺到で、ネット証券各社の注文処理能力は限界に近づいており、急きょ売買システムの増強に乗り出す動きも出始めている。
6月の売買代金はイー・トレード証券が9896億円、2番手の松井証券は8406億円など、上位6社はいずれも過去最高を記録。6社合計の1日当たり売買代金は約1580億円と、5月を40%以上上回った。
7月は勢いが加速、松井は3日の売買代金が過去最高の約860億円(6月の平均は400億円)を記録。日興ビーンズ証券も7月の1日当たりの売買代金が6月平均の40%増になっている。
売買注文が急増した背景に株価上昇による投資家心理の改善があるのはもちろんだが、過去の上昇局面と今回で違うのは、ネット証券各社が相次いで手数料を引き下げた点だ。株価下落で売買単価が安くなっていたこともあり、1日に何度も売買を繰り返す「回転売買」がしやすくなった。これが出来高を膨らませる大きな要因になったと見られている。
7月は株式投資から遠ざかっていた投資家や新規客も参入しつつあるといい、「現物株に売買注文を出した顧客の数は、3月の2倍以上」(カブドットコム証券)、「新規口座開設が一日100件以上の日が続いている」(松井)という。
しかし注文件数の急増で、注文を取り次ぐ各社のコンピューターシステムへの負担も急増。一部の社では「ホームページがつながりにくい」などの苦情も出始めているといい、「生命線であるシステムがパンクすれば一気に客が逃げる」(ネット証券社長)と、綱渡りが続いている。
こうした中、DLJディレクトSFG証券は、6月後半に約7000万円かけてシステムの増強を行ったほか、日興ビーンズも9月に予定していたシステム増強を8月初めに前倒し、注文量増加に対応することを決めた。【坂井隆之】(毎日新聞)
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