2003年07月09日(水) 22時18分
政府「リナックス」初採用、地方自治体導入に弾み(読売新聞)
富士通、日本IBM、沖電気工業の3社は9日、中央省庁の人事・給与を管理する新システムの設計を、政府から計1億8800万円で受注したことを明らかにした。
3社は新システムの基本ソフト(OS)に、無償ソフトの「リナックス」を使う方針で、正式に採用されれば、政府の基幹システムで初めてリナックスが使われる。官公庁のシステム更新は今後、地方自治体が中心だが、中央省庁の人事システムにリナックスが採用されると、「地方自治体もリナックスのシステムを導入しやすくなる」(総務省)との見方もあり、リナックス普及に弾みがつく可能性もある。
3社が受注したのは、人事院が2005年度に導入を予定する中央省庁の給与・人事システムの設計で、約80万人の職員が対象の大規模システムだ。省庁が別々のシステムで処理している旅費の精算や給与の計算などを1本化し、業務の効率化を図る。設計後のシステム開発は、来年夏に改めて入札を行う予定だが、設計段階で採用されるリナックスを使う公算が大きい。
国内のサーバー(ネットワーク向けコンピューター)の約8割は、OSに米マイクロソフトの「ウィンドウズ」を採用している。2番手は、アメリカで開発された高性能コンピューター用OSで有償の「ユニックス」で普及率は1割強にとどまる。
有償で基本設計が非公開のウィンドウズなどに対し、フィンランドの大学生が開発したリナックスは無償で、基本設計も公開されている。リナックスにはシステムの製作コストが安く、公開された設計情報をもとに、改良やトラブルに対処しやすい長所があり、富士通などIT(情報技術)メーカーは、地方自治体向けシステムなどで採用を積極化させている。
◆OS(基本ソフト)=パソコンのハードディスクなど心臓部を制御するソフト。文書の作成や印刷などを実行するアプリケーションソフト(応用ソフト)とプリンターやキーボードなどハード(機器)の間を取り持つ機能も持つ。コンピューターのほかゲーム機や携帯電話などにも組み込まれている。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030709-00000513-yom-bus_all