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2003年07月07日(月) 00時00分

青色吐息 福岡の大手ホテル福岡市内のホテルでは当日でも空室が目立つ=JR博多駅の旅行会社前で朝日新聞・

 福岡市の大手シティーホテルの多くが経営不振で財務内容が悪化し、債務超過回避のため親会社から増資などの支援を受ける例が相次いでいる。債務超過の責任をとって前社長が6月末に辞任したホテルオークラ福岡以外でも、宿泊や宴会の売り上げが落ち込む一方、借入金の金利に苦しむホテルが目立つ。80年代以降、東京や外資系の大型ホテル進出が相次いだことで、値下げなど過当競争を指摘する声もある。
(中川仁樹)

 博多全日空ホテルは借入金の金利負担で赤字が続き、今も債務超過だ。親会社の全日空が3月に約20億円の増資を引き受け、7月には他の株主から株を買い取って100%子会社にした。

 ホテル日航福岡も97年から債務超過が続いたが、昨年7月の10億円増資でようやく解消した。親会社である不動産会社の九州勧業が負担した。

 ホテルニューオータニ博多の運営会社は昨年3月、抜本的な財務改善策を実施。親会社のニューオータニなどの出資増で資本金を3倍にし、ホテルの建物を証券化して41億円で売却した。

●売上高2割減

 「オークラさんの債務超過は他人事でない」。ホテル日航福岡の吉富芳助企画室次長は話す。

 日航は03年3月期に開業14年で初の経常黒字を出した。ただ、従業員約300人の半数を契約社員やアルバイトにして人件費を減らしたためで、「経営が安定したとは言えない」。売上高は63億円で、11年前の77億円から2割落ちた。

 宿泊客の7割を占めるビジネス客が企業の経費節減で減り、宿泊客確保のため団体料金を下げている。複数ホテルの料金を一目で比較できるインターネット予約の普及で、個人向け料金も値下げを迫られた。開業当初は2万円を超えた平均宿泊料金は1万3千円に。宴会も料理の量や質を落とす団体が増え、当初より売上高が2割減った。

 ニューオータニ博多は03年3月期に500万円の営業赤字。78年に開業して3年目から12年連続で黒字だった。だが、競合ホテルが増えるにつれ業績は悪化。90年代前半から赤字基調が続く。

 利益率の高い婚礼が、一時の700件から昨年度は233件に減った。豪華なチャペルを持つ新設ホテルに流れている。

 76年開業の博多全日空ホテルも、黒字はバブル期の数年だけという。

 02年度の客室稼働率は、全日空89%、日航73%、西鉄グランド70%と、いずれも低くない。しかし、料金値下げでなかなか利益に結びつかない。

●再開発ブーム

 古手ホテルの企画担当者は「福岡にこれほど高級ホテルの需要はない。進出ラッシュがなければ、ここまで経営は厳しくならなかった」と指摘する。バブル崩壊後の進出組に「どんな市場調査をしたのか理解できない」と不満を漏らす。

 相次ぐ進出の一因は、福岡市中心部での再開発ブームだ。地元企業が中核施設としてホテル進出を要請した。ニューオータニ、日航、オークラに出資する九州電力は「ホテルによって商業施設がにぎわう」(広報部)として、地域経済活性化という狙いを強調する。

 だが、ホテルに出資や融資をしてきた地元銀行の態度は厳しくなっている。ある地銀幹部は「多額の借入金に見合う収益を上げるのは難しく、経営再建は簡単ではない」と漏らす。

 全日空に増資で支援を受けた博多全日空ホテルの坂下幸男取締役は「これでだめなら事業を見直すこともありうる」と背水の陣の構えだ。(7/7)

http://mytown.asahi.com/fukuoka/news01.asp?kiji=4900