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科学的根拠に乏しいのに「医者に行かずともガンが治る!」などと特定の食品の購入意欲を誘う本や雑誌なども場合によっては違反広告とみなす——。8月末に施行される食品に関連した虚偽、誇大広告を禁止する改正健康増進法で、厚生労働省は4日までに、書籍も規制対象になりうるとの監視指導の指針案をまとめた。同省は「言論の自由に最大限配慮し、限定的に運用する」としているが、広告の在り方をめぐり論議を呼びそうだ。
健康増進法は旧栄養改善法を引き継ぎ5月に施行された。改正法は昨年の中国製「やせ薬」問題などを受け5月に成立。食品関連の「広告その他の表示」について「健康の保持増進の効果」を「著しく事実に相違」「著しく人を誤認させる」表示を禁止し、改善を求める行政指導、勧告に従わない場合は厚労相が措置命令を出す。それに応じなければ6カ月以下の懲役か100万円以下の罰金になる。
指針案は「広告ではない」との規制逃れを想定し、(1)顧客を誘引する意図が明確にある(2)特定食品の商品名等が明らかにされている(3)一般の人が商品名や効果などを認識できる状——と広告の条件を定めた。本や雑誌も(1)〜(3)に該当し、販売業者の連絡先を記載するなど、内容により規制対象になる、としている。
同省は、食品広告の違反例として、治療を受けなくても治癒可能との誤解を与える▽ダイエット食品体験談で運動もしていたのに不都合な部分を掲載しない▽類似食品の学会発表と混同させ「効果が学会で発表」とする▽テレビ司会者の誇大なコメントを引用する、などを示している。
医薬品のような形態をとり、効能、効果をうたう場合は薬事法、明らかな虚偽広告は景品表示法の処罰対象になり、いずれも悪質な場合は刑事罰がある。
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憲法学者・奥平康弘さんの話 出版社が一般的情報と思って出したのに広告とみなされる境界線の場合が問題になるが、行政指導、勧告、命令と段階を経るなら主張の余地があり、ただちに表現の自由の問題にはならない。消費者の健康や安全も重く見なければならない。恣意(しい)的な運用をせず、対等の話し合いをしながら事例を積み重ね、消費者団体を交えるなどして社会的合意を達成していくしかないだろう。(07/05 03:00)