悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年07月04日(金) 00時00分

「北朝鮮アサリ」表示なぜ少ない?畜養される「国産」アサリ・・・木更津市の県漁連あさり事業所で朝日新聞・

 いまが旬のアサリ。国内漁獲量は長期にわたって減る一方で、輸入物が大半を占めている。うち約7割が北朝鮮からだが、「北朝鮮産」と表示されるアサリはとんと見かけない。JAS法は生鮮食料品の原産地表示を義務づけているが、「商品価値が下がる」と表示をごまかす業者もいるようで、消費者団体は目を光らせている。1(岩堀滋)

 国産アサリの主要産地である東京湾。船橋市の「ふなばし三番瀬海浜公園」は、6月19日で今年の潮干狩りシーズンを終えた。期間中には10万人以上が詰めかけた。地元三番瀬産のアサリは一つもなかった。中国産を約130㌧まいた。

 問屋を通じ、潮干狩り用アサリを調達する船橋市漁協は「青潮などの影響で地のアサリは潮干狩り分まで回らない」と説明する。三番瀬一帯のアサリ漁獲量は02年度で約1300㌧。最盛期だった70年代の10分の1以下だ。

消える国産
 同湾の天然干潟、盤洲干潟に近い牛込漁協(木更津市)も、地元のアサリだけでは大勢詰めかける潮干狩りには足りず、熊本などから購入している。同漁協は「なるべく国産ものにしているが、輸入物を放流する『蓄養(ちく・よう)』もあるのではないか」と言う。
国産アサリの総漁獲量は02年度約3万4千㌧。過去最低だった01年度を約3千㌧上回ったものの、ピークだった83年度の約16万㌧から見れば5分の1程度にまで落ち込んだ。

 一方で台頭したのが「北朝鮮産」のアサリだ。財務省の貿易統計によると、02年度のアサリの総輸入量は約6万㌧で、北朝鮮は約4万㌧を占める。次の中国(約1万1千㌧)と比べても圧倒的に多い。

「北朝鮮産」はどこへ
 しかしスーパーなどで「北朝鮮産」を見かけることは少ない。
 国内で水産物を販売する場合は、JAS法で原産地表示が義務づけられるが、輸入品はいくつもの業者を経ているケースも多く、その間に原産地が不明確になる場合もあるという。

 経済交流の日本側窓口となっている東アジア貿易研究会(東京)は、「マツタケがいい例で、北というブランドはマーケット的に値段を下げるからではないか」とみる。

 水産庁加工流通課は「捕った場所が北朝鮮なら、原産地として『北朝鮮産』と表示すべきだ。アサリの表示に問題があるという話は聞いていない」としながら、「正確には調査していないのでわからない」と話す。

目をつむるしか
 消費者団体「日本消費者連盟」代表運営委員の富山洋子さんは、「『北朝鮮産』と表示されたアサリがなぜこんなに少ないのか不思議に思っている。輸入アサリは、業者側の思惑で表示がゆがむ可能性を十分にはらんでいる。消費者がきちんと選択できる偽りのない表示を求めたい」と訴える。
愛知県のあるアサリ業者は、中国の会社が北朝鮮から買い付けて「中国産」として輸入するケースや、輸入ものを九州や山口県などの海域で一週間から数カ月間蓄養し、国産として流通させるケースも多い、と打ち明ける。

 この業者は言う。「国産アサリが増える見込みはない。日本人は、目をつむって輸入アサリを食べるか、あるいはアサリを食べるのをあきらめるか、の岐路に立たされている」(7/4)

http://mytown.asahi.com/chiba/news01.asp?kiji=3212