2003年07月04日(金) 00時00分
神栖ヒ素 生活保護は継続(朝日新聞・)
■50代の夫婦 国の支給金 収入とみなさず 旧日本軍の毒ガスに由来するとみられる井戸水の有機ヒ素化合物による健康被害で失業し、生活保護を受けている神栖町の50代の夫婦に対し、厚生労働省は3日、環境省から支給される計140万円の調査協力金(一時金)を全額収入とみなさず、生活保護の打ち切りや減額をしないことを決めた。厚労省社会・援護局保護課は「慰謝料的な要素も含まれるということだったので、収入扱いとしないことにした」としている。
「支援対象者の中に生活保護世帯があるが、協力金などの扱いをどうしたらいいか」。支援策がまとまった段階で、環境省から厚労省に照会があった。
生活保護制度では、年金も含め世帯に入る金は収入とみなし、その額を生活保護の支給額から差し引くのが原則だ。しかし、災害の補償金や冠婚葬祭の慶弔金など、例外として収入とみなさないケースもある。
夫婦に支払われる調査協力金は、生活保護費の約10カ月分に相当する。一時的な収入となれば、生活保護が打ち切られる。「慰謝料」ならば補償金と同じく収入から除外されるが、国が責任を認めてしまうことになる。協力金は名目上「健康への影響を調査し、治療法を明らかにするため」のもので、国は責任を明言していない。
両省の担当者間で協議した結果が、性格をあいまいにしたままの「慰謝料的な要素」だった。
過去にも水俣病患者の受け取った一時金などを全額、慰謝料とみなした例などがあったという。
生活保護の継続が決まった夫(52)「継続は当然と思っていたので、ひとまずは安心した。私たちの場合は制度上の壁を越えられたかも知れないが、同じような問題は山積しているのではないか。制度に課題があるのならば、きちんとただしてほしい」と話した。
(7/4)
http://mytown.asahi.com/ibaraki/news02.asp?kiji=6001
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