2003年07月04日(金) 00時00分
祈祷師殺人控訴審初公判 改めて殺意を否定(朝日新聞・)
弁護側、責任能力に「重大な疑問」 女祈祷(きとう)師は殺すつもりで太鼓のばちを振り下ろしたのか──。須賀川市小作田の祈祷師宅で男女6人の腐乱死体が見つかった事件から約8年。殺人などの罪に問われ、一審で死刑判決を受けた江藤幸子被告(55)らの控訴審が3日、仙台高裁で始まった。「江藤被告は当時、心神喪失の状態で、殺意はなかった」。一審に続き、弁護側はこう訴えた。
午前10時、同高裁の405号法廷。江藤被告はしっかりと前を見据えて入ってきた。白の長袖シャツに黒のズボン姿。松浦繁裁判長に名前を問われると「江藤幸子です」とはっきりした口調で答えた。公判中も江藤被告は背筋を伸ばし、まっすぐ前を見つめていた。
これに対し、白のジャージーを着た鏡石町笠石、無職関根満雄被告(53)=一審で懲役18年の判決=は終始うつむき加減だった。
一審では、
両被告に殺意があったか
▽事件当時の江藤被告が正常な精神状態だったか──が争点となった。福島地裁は、両被告に殺意があり、江藤被告には責任能力があるとした検察側の主張をほぼ認定。被告らが「御用」と称し、悪霊払いの目的で太鼓のばちで信者をたたくなどした行為を「被害者らの魂を清め、救済するものとは到底言い難い」と断じた。
この日の控訴審で、江藤被告側は「『御用』が殺人につながるとの認識はなかった」と改めて殺意を否定した。また犯行現場となった被告宅は被害者が常時逃げられる状況であったとして「『御用』は被害者の同意のもとで行われた」と主張。そのうえで「当時被告は心神喪失か心神耗弱状態にあったため無罪、少なくとも減刑されるべきだ」と訴えた。
一審の精神鑑定については「鑑定人は2度しか被告に面会しておらず、責任能力について的確に判断できるかは重大な疑問」などと指摘、同被告の再鑑定を求めた。
一方、関根被告側は「被告の暴行は軽微であり、あくまで宗教的行為だった」と殺意がなかったことを主張した。
仙台高裁は江藤被告の再鑑定の要求などを留保。9月2日の次回公判では、殺意の有無を調べるため関根被告に対する被告人質問が行われる。
(7/4)
http://mytown.asahi.com/fukushima/news02.asp?kiji=4346
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