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2003年07月03日(木) 21時49分

[OITA見聞録]ネットが結ぶ住民と行政 /大分毎日新聞

 ◇大分市長、交際費HPに全面開示
 大分市は6月から、ホームページ(HP)で市長交際費の全面公開を始めた。インターネットが急速に普及する中、行政機関も情報公開や市民参加にHPを活用する動きが活発になっている。県内各市町村の取り組みを取材すると、住民と自治体双方向型の政策形成などに役立っている半面、問題も起きていた。 【藤平慶太】
 釘宮磐市長はHPを情報公開手段の要と位置づけ、「新しい魅力ある情報をより見やすく」市民が受け取れるよう、HPの全面改定を担当課に指示した。6月議会に提案された一般会計補正予算案では、専門家からHP作成に提言・助言をしてもらう「ITアドバイザー事業」に100万円を計上した。
 各課の情報は課独自に作成して掲載している。このため6月27日には、課長補佐以上の職員約100人を集めて研修会を開き、行政機関のHPに詳しい川上和久・明治学院大学教授の講演を聞いた。川上教授は「HPを、なるべく幅広い住民参加を促す装置として工夫しないといけない」と説いた。
 ◆情報公開や政策意見、双方向に活用
 ◇県事業意見Eメールで募る
 ■住民参加
 県は02年度から、政策に対する県民の意見を募集するパブリックコメント制度を実施している。HPに計画や条例案の全文を掲載し、電子メールで意見を募っている。02年度は9事業に対し22件の意見が寄せられた。
 このうち「県エコエネルギー導入促進条例素案」には9件が寄せられた。これらの意見は諮問機関「条例制定懇話会」の討議資料とされ、一部は条文の表現に反映された。同条例を担当する県水資源土地対策局の井上啓次郎局長は「まだ意見が少なく、制度が浸透しているとは言えないが、より意見を取り入れた成案にできる」と話す。
 ◇13市町が電子掲示板設置
 ■マナー守ろう
 住民の意見を広く募るものには「電子掲示板」がある。毎日新聞が県内58市町村を調べたところ、別府市、三重町など13市町がHPに掲示板を設けていた。テーマごとの掲示板もあれば、関心が高い「合併問題」に限って意見を求めた掲示板もある。書き込みに自治体側が答えるケースもあり、自由に意見を表明できる双方向型の討論の場になっていることが分かった。
 しかし、掲示板はもろ刃の剣でもある。誰でも、どこからでも意見を言えることが悪用された例もあった。1月、成人式で着物を着てきた女性が式に参加できないという問題が起こった姫島村。当時、村の掲示板には特定の発信場所からいたずらメールが5分おきに数千通も届いて、掲示板は閉鎖に追い込まれた。
 村は近くHPをリニューアルするが、掲示板は設置しない。村総務課の担当者は「本当は村民のためにやりたいが、一部の人のためにまじめに意見を言いたい人が迷惑をこうむった」と残念そう。
 ◇地域問題解決の仲介者
 ■官民の連携
 東京都三鷹市では、公募した市民が市基本構想の基となる提言をまとめる際、市の電子掲示板で活発な意見交換が行われ、市政に直接反映された。川上教授は「これからの行政のHPは、住民が地域問題を解決する仲介者となる必要がある」と指摘。大分市の釘宮市長も「今後は役所にとって都合のいい一方的な情報だけでなく不都合な情報も出し、双方向のやり取りで市民との関係を熟成させたい」と、市民との連携を強調した。
 インターネットによる市民の政策参加要求が高まる中、行政側には市民の意見を受け入れ、反映させる度量が求められる。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030703-00000002-mai-l44