2003年07月03日(木) 09時08分
スパム対策技術に募る視覚障害者の不満(ZDNet)
スパム対策技術の人気が高まっていることについて、視覚障害を持つネットユーザーの一部から不満の声が上がっており、スパム対策推進派と障害者擁護派の衝突に発展しそうな様相だ。
自社のサービスにアクセスしようとするユーザーに対して認証テストの通過を求める企業が最近増えている。一般的な認証テストは、コンピュータやソフトロボットによって読み取られたりコピーされないような偽装を施した文字をいくつかWebフォーム上に表示させ、それを入力させるというもの。
この手法は現在、Yahoo!、Microsoft、VeriSignなどの大手各社も導入。その狙いはソフトロボットによってスパムメール送信に使われるWebベースの電子メールアカウントを登録されることと、オンラインデータベースから電子メールアドレスを取得されることを防ぐというもの。
この手法は迷惑メール対策面では高い評価を得ている半面、視覚障害を持ったWebユーザーが利用を妨げられるケースも増大。視覚障害者擁護団体の怒りを買い、Web標準化団体World Wide Web Consortium(W3C)は代替標準を模索。法律専門家はこの手法が原因で、企業は米障害者法を根拠とした訴訟を起こされる可能性があると指摘している。
首都ワシントンにあるAmerican Foundation for the Blindの技術研究開発ディレクター、ジャニーナ・サジカ氏は「こうしたシステムは、向こう側に居るのが人間かどうかをテストするものだと称しているが、この技術は人間の特定の能力を問うものでしかない。その特定の能力を持たない人は締め出されており、これは本当に不適切だ」と話す。
W3CのWeb Accessibility Initiative(WAI)は、代替策の標準化についての論議を開始しており、来年末までに策定が見込まれるWeb Accessibility Guidelinesの次期ワーキングドラフトとなるバージョン2.0でこの問題に対応したい考えだ。これまでに公表されたワーキングドラフトではこの問題に触れていなかった。(ZDNet)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030703-00000010-zdn-sci