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身にしみた不安をぬぐい去るのは大変だ。一度失った信用を取り戻すのも難しい。
牛海綿状脳症(BSE)、一連の偽装事件や残留農薬など、どれ一つとっても、メーカーや流通、そして食品行政全般への信頼を根っこから揺さぶるような事件の続発に、消費者は打ちのめされたままでいる。
省庁から独立した機関である食品安全委員会の当面の課題は、消費者の心のいやしに尽きる。
全国農協中央会が今年初め、首都圏、近畿圏を対象に実施したインターネットによる消費者、生産者インタビュー「オンライン会議室」には、食への不信を吐露する消費者の本音が多数寄せられた。
「だまされて買わされている気がしてならない」「何を信じればよいのか」「ことごとく裏切られた」という強い非難の言葉の中で、東京都内の主婦(44)の「一番重要なのは、“正直な”情報で、“正確な”ではない。うそはつかないでほしい」という訴えが目に付いた。
消費者に軸足を置く行政が、傾聴すべき意見である。消費者の心を開くには、正直な言葉と行動を誠実に積み上げていくしかない。
委員会は、安全性の評価を担う。七人の委員は「食品の安全性の確保に関して優れた識見を有する者」であり、毒性学、微生物学、有機化学、そして生産・流通システムなどのいわゆる専門家集団だ。
それぞれの「識見」に、疑問を挟むつもりはない。しかし、「現場の声」の欠落感は否めない。
なぜなら、消費者の多くは一連の不祥事を通じて、与えられた情報だけでは、自らや家族の安全を守るのは難しいという教訓を身につけた。
「オンライン会議室」に寄せられた主婦の意見にも、最終的な判断は消費者自身で担うという気概が見える。専門家集団も常に消費の現場に視点を置いて、買い手の不安や不信のありかに、まず目を凝らすべきである。そのためには、一般消費者との細やかな情報交流が欠かせない。
消費者も、安全委に頼り過ぎるべきではない。最終選択者の自覚に立って、食に関する正しい知識の吸収を心がけ、だれよりも消費の現場に詳しい「八番目の委員」として、時には安全委側に働きかける姿勢もほしい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030701/col_____sha_____003.shtml