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2003年06月27日(金) 00時00分

旧日本軍毒ガスで対策法 環境省方針 東京新聞

 茨城県神栖町などで旧日本軍の化学兵器が原因とみられる健康被害などが出た事態を受け、環境省は、「旧日本軍の化学兵器に起因する健康被害の未然防止に関する法律」(毒ガス被害防止法)を策定する方針を固めた。全国調査に基づき、化学兵器の埋設が確認された場所を「監視地域」に指定し、定期観測できるようにするほか、環境汚染などと兵器との因果関係が強く疑われる場合は国が強制的に調査できる権限も盛り込む見通し。来年の通常国会への提出を目指す。

 旧日本軍の化学兵器は終戦当時、全国の軍施設に毒ガス、おう吐剤などが約三千九百トンあり、連合国軍総司令部(GHQ)の指導で処理されたとされる。政府は一九七三年に全国調査を一度行っているが、詳細なデータが散逸。防衛庁は旧日本軍の化学兵器の扱いは所管しておらず、水や土壌を汚染した場合の法的規制もない状態だ。

 工事関係者に被害が出た神奈川県寒川町では、旧日本軍の施設跡地だったことが判明したが、神栖町の場合は原因自体が特定できず、情報収集が手詰まりになっている。環境省は都道府県に協力を求め、今月末から、あらためて徹底的な全国調査を行う予定で、十月中のデータ集計を目指している。

 新法はこの全国調査に基づいて、化学兵器の埋設が確認された場所を監視地域に指定。地下水や土壌、大気などを定期的に観測し、化学兵器による汚染などへの警戒を強化する。

 監視地域では、道路や建物建設などの工事を行う際、届け出の義務や事前調査の実施などを事業者に求めることなどが検討されている。

 神栖町のように原因不明の状態で、水などの環境汚染が確認され、化学兵器に起因する可能性が極めて高い場合、地主などの許可が得られなくても、国が強制的に立ち入り調査する権限も盛り込まれる見通し。国民の権利を強く規制する内容を含むため、環境省は慎重に協議しながら法制化を進める意向だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20030627/mng_____sei_____002.shtml

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