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2003年06月23日(月) 03時00分

葬祭場:反対の「のぼり」、営業妨害にあたらず さいたま地裁毎日新聞


 さいたま市浦和区東岸町の住宅街で、葬祭場を営業する冠婚葬祭会社(埼玉県川口市)が、「斎場断固反対」と書いた紅白ののぼりなどを掲げている住民5戸に対し「営業妨害だ」と、撤去などを求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁(住友隆行裁判官)は「のぼりに書かれた内容や掲げる行為は、社会的に相当な範囲内」などとして、申し立てを却下する決定を出していたことが分かった。のぼりという住民運動の手法が法的に認定されたことになり、決定は全国で展開される葬祭場反対運動に影響を与えそうだ。

 申し立てによると、同社は葬祭場の建設を計画し、01年に住民説明会を開いたが、住民側は「13年前に建設しないと約束した」と反発した。同社は「そのような事実は認められない」などと主張して着工し、02年12月に営業を始めた。住民側は紅白ののぼりを掲げて反対し、多い時には100本が立てられた。このため同社は「(祝事の)紅白の垂れ幕を連想させる。遺族や弔問者に強い不快感を与える」などとして、撤去と今後設置しないことを求めた。

 住友裁判官は「のぼりの数や色合いなどの相乗効果で、厳粛な雰囲気で行われるべき葬儀運営に支障を来す場合、違法性を帯びることもあり得る」と指摘。だが▽連日、会葬者などを目にする住民の精神的苦痛は理解できる▽同社が「13年前の約束」について一切交渉しない態度を取った——などを挙げ、社会的に相当な範囲を逸脱していないと結論づけた。

 住民側の立石雅彦弁護士は「のぼりを出すという表現の自由が認められた画期的な決定」と話している。一方、同社は「まだ(司法判断は)確定していない。立場の違いもあり、今後の方向性は現時点では申し上げられない」と話している。【小原綾子】

 ▽住民運動に詳しい五十嵐敬喜・法政大教授(都市政策学専攻)の話 葬祭場に絡み、裁判所が住民の訴えをここまで認めたのは全国初ではないか。裁判所の判断は『お見送りの様子を目にせざるを得ない住民の精神的苦痛は理解できる』などと具体的に踏み込んだもので、かなり評価できる。

[毎日新聞6月23日] ( 2003-06-23-03:00 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030623k0000m040093000c.html

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