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2003年06月13日(金) 20時49分
片山善博知事の東芝会長批判 広がる波紋、着地点どこに /鳥取(毎日新聞)◇議論喚起で既に“成果”◇三位一体改革の行方次第 政府の「地方分権改革推進会議」がまとめた「三位一体改革」の意見書と議長の西室泰三・東芝会長に反発、東芝と県との取引を見直すことを表明した片山善博知事。発言の波紋は広がる一方で12日もメールは止まらず、累計965件に上った。否定的な意見が圧倒的に多い中、発言の真意はどこにあるのか、どう問題を決着させようとしているのか、探った。 【桜井由紀治、佐々木洋】 ◆メール965件 片山知事の発言は、各界に波紋を広げた。日本経団連の奥田碩会長が「民間から政府の審議会の委員長になる人がいなくなる」と批判するなど、多くが「感情的過ぎる」「筋違いの発言」と指摘。片山虎之助総務相のように擁護する声はわずかだった。 県庁には、12日も賛否のメールが340件届き、9日から4日間で計965件に上った。昨年度1年間で県政全般に寄せられたメールなどは2244件で、半数に迫る勢い。知事発言に肯定的な意見が少しずつ増えてはいるものの、依然7割近くが批判的な反応。中には、「こうした措置が行われるならば、鳥取のスイカやナシを買うのはやめにします」という挑発的な意見もあった。 ◆片山流賛同も 物議を醸す発言で、これまでも度々注目を集めてきた片山知事。記憶に新しいのが、01年11月、東京都の石原慎太郎知事が導入を検討していた「ホテル税」を巡る発言だ。定例会見で「住民以外の取りやすいところから取るのは、他人のふんどし(で相撲を取る)のようなもの」と痛烈に批判した。 片山知事は、翌月の中国知事会でも「首都機能の分散」に絡めてホテル税の是非について問題提起したが、この時は「自治体には課税自主権がある」などを理由に、他県の賛同は得られなかった。 しかし、過激な発言を用いて議論を喚起するのが“片山流”。県庁に寄せられた「あっぱれ片山知事」と題したメールは、「あえて筋違い発言をして、都道府県、市町村の良識ある首長の議論を巻き起こそうとしている」と知事の真意を推し量っていた。 ◆困難な対抗 取引見直しの検討は、先週末、片山知事が担当部局に指示した。現在、これまでの東芝との契約内容を洗い出している最中だが、一体、どういう対抗措置が取れるのか。 県は県立病院関係の医療機器やパソコンのリース、照明器具などで東芝商品を使用しているが、県の指名停止要綱では、業者を排除できるのは、業者が不正を働いたり、粗雑な物品を入れたりするケースで、今回の場合は当たらない。 また、パソコン・リースなどは県内入札業者がたまたま東芝商品を取り扱っている結果だ。指定する機能さえクリアしていれば東芝商品だけを除く根拠はなく、無関係な入札業者の排除にもつながる。 さらに、規則でメンテナンスは100万円未満と定められている随意契約についても、医療機器などの特殊性のある機器の場合、購入業者のメンテナンスを継続して受けざるを得ない。いずれにせよ「公正さを欠いてはいけない」(片山知事)としながらの見直しは、困難を極める。 ◆真意は 東芝との取引見直し発言の真意について、片山知事は12日の県議会代表質問で「放っておくと、地方財政が無茶苦茶にされるからだ」と、改めて西室議長の不透明な議事運営を理由に挙げた。 しかし、ある県幹部は「揺れ動く三位一体改革に対して、問題提起する狙いがあったのではないか」と見る。抗議メールも承知のうえの“片山流パフォーマンス”と予想する。 実際、東芝発言以後、三位一体改革の論議は、地方への税源移譲を先送りした分権会議の意見書から、塩川正十郎財務相の補助金削減分の7割とする税源移譲発言の是非に移ったかに見える。ある県議は「三位一体改革の着地点を見据えながら、幕引きを考えているのではないか」と話している。(毎日新聞) |