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2003年06月12日(木) 19時25分
[経済メール]NPO通じ太田さん、SOHO設立助けたい /埼玉(毎日新聞)◇オフィス提供、セミナーも小さな事務所や自宅で個人企業を営む「SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)」の活動が活発だ。NPO(非営利法人)「さいたまSOHO起業家協議会」の理事長、太田昇さん(56)は、個人企業に事務所を貸し出す不動産業と、NPOを通じた支援活動でSOHO育成に力を注ぐ。脱サラし、自らも床暖房設置業を起こした太田さんは「自分が独立した時に妻と2人で孤軍奮闘した。苦しみが分かるからこそ独立する人の情熱をサポートしたい」と熱意を込めて語る。【野口美恵】 太田さんの自社ビルは、さいたま市中央区鈴谷のJR埼京線南与野駅前にある。2、3階をSOHO用に貸し出し、21室に30社が入居する。今年2月、さいたま新都心駅前でも26室を貸し出したが、即日満室となった。子育てにひと区切りついた主婦や「第二の人生」を始めた元サラリーマンが多い。バブル経済期の若手ベンチャーとは違い、「スキルを生かして自己実現するSOHOスタイルが根付いてきた」という。 太田さんは75年に脱サラし、市営団地の自宅で床暖房の仕事を始めた。家事育児の傍ら、妻が夕方までダイレクトメールを書きつつ電話番をした。だが、「従業員も事務所もないのか」と客が帰ってしまうことも。第一印象の重要さ、独立の難しさを痛感した。 81年に事務所を構えると、急に商談がやりやすくなった。手放しで喜べない理不尽さを感じたが、「自分の実力以外のことで判断されて、ビジネスチャンスを失うことがないよう、起業家を支援したい」と思った。 念願の自社ビルを構えた89年、同時にSOHO向けオフィスをオープンした。10〜20畳の事務所に共同応接室、コピー機、電話、来客応対の秘書サービスを含めて10万〜14万円。ところが空室だらけに。「独立には人脈と信用も大事。事務所や秘書だけでは支援ではない」と初心に帰った。 大部屋をやめて机一つで間仕切りしたコーナーや個室に細分化し、2万〜9万円に抑えた。人脈や経営ノウハウを支援するため00年にはNPOを設立した。「小さいSOHOでも、集団で活動を続ければ名の知れた団体になる」と、県やさいたま市の後援を取り付けて創業支援セミナーを開催するなど活動を広げた。 定年後に独立、中国山東省の工場で釣り糸を製造する「三洋テグス」の石川敏夫さん(61)も入居者の1人。「電話番付きオフィスが機能的なので入居した。協議会の交流を通して手助けし合いたい。業種が違っても経営姿勢やスキルは生かせる」と話す。 現在、協議会メンバーは24人、月1回の「起業塾」、昼食会やビジネス交流会とさまざまな勉強や交流の場がある。公認会計士など資格所持者メンバーによるビジネスサポート会も結成し、人脈や信用力のサポートを今後も強めていく。 「一匹狼でも孤独は大敵。信用作り、人脈作りが大切」と太田さん。埼玉に新生企業を生み出す、縁の下の力持ちだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ことば ◇SOHO(ソーホー) スモールオフィス・ホームオフィスの略。小さな事務所や家庭を拠点に起業する個人企業の新たな形態で、90年代中ごろからブームが起きている。机一つで始めることが可能で、低価格な賃貸集合オフィスは、県内で02〜03年に6施設80室がオープンし、開設ラッシュ状態にある。(毎日新聞) |