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2003年05月29日(木) 22時22分

5月30日付・読売社説(2)読売新聞

 [電波共同利用]「混信を防ぐ技術を活用しよう」

 混信を防ぐため、原則として一つの周波数を一つの利用者に割り当てている電波管理政策が変わろうとしている。

 届く範囲の狭い微弱な電波は一定の周波数を共有財産(コモンズ)とし、幅広い事業者に共同利用させよう、という考えが、日米など先進各国で台頭している。

 電波は、IT(情報技術)化に欠かせない国家的資源だ。長波からマイクロ波まで広い帯域があるが、需要の増大で空いている帯域が減り、利用希望に応じるのが難しくなっている。

 共同利用は、周波数不足を大幅に緩和する画期的な電波管理政策だ。この手法を積極的に活用し、電波の“供給量”を一気に増やすことが望まれる。

 総務省は、周波数帯域を放送、携帯電話などの用途ごとに割り当て、資格を満たす利用者を選んで、各帯域の一部分を独占的に使用する免許を与える方式を、電波管理政策の原則にしている。

 だが、受信機が自分用の電波か否かを識別する技術や、発信機が周囲の状況を見極めてから電波を出す技術が発達し、混信を防げるようになってきた。

 こうした技術革新を受け、総務省は既に、周波数帯域の隙間(すきま)から十八か所を選び、微弱電波用に割り当てている。

 JR東日本のIC(集積回路)カード乗車券「スイカ」は、その一つを利用したものだ。改札機が出す電波は半径九十センチの範囲しか届かず、混信しない。

 ICを内蔵した荷札「ICタグ」が、これに続こうとしている。

 特定の電波を受けると作動し、警報音を発したり、書き込まれた記録を表示する。書籍に組み込めば、万引き防止に役立ち、旅行かばんに付ければ、自宅で宅配会社に預けた荷物を海外の空港で受け取れる。生鮮食品に使えば、栽培や飼育の履歴を店頭で簡単に表示できる。

 一方で、ICタグは国際物流を効率化する技術として、日米欧で規格標準化の協議も進められている。

 問題は米国が提唱する周波数帯域が、日本では携帯電話用に使われていることだ。総務省は電波割り当てを再編成する中で、ICタグ専用の帯域を設け、国際規格に合わせるべきだろう。

 同省はまた、駅や喫茶店などを拠点とし、電波でネット接続する無線構内情報通信網(LAN)用の周波数を、現行の免許制から簡便な登録制に移行し、共同利用を促すことも検討している。

 共同利用には電波使用料の徴収や利用者間の紛争処理などの課題が残る。それらの解決を図りつつ、技術の進展に合わせ、規制を緩和していきたい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030529ig91.htm

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