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2003年05月29日(木) 00時00分
緊急時の携帯「不通」 業者の規制にイライラ(朝日新聞・)宮城県沖で26日夕に起きた地震では携帯電話が通じにくくなり、家族の安否連絡や緊急通報にも支障が出た。便利さになれた利用者は、緊急時にかえってあせりを募らせた。地震があったのは同日午後6時24分ごろ。出張で関東地方に来ていた盛岡市の会社員藤田徹さん(34)は約3時間、自宅と連絡が取れなかった。食卓の周りには五月人形を置いたスチールラックがある。長男雅己ちゃん(1)の上に落ちたら……。 携帯電話でメールを送っても返事が来ない。電話は50回以上かけた。無事が確認できたのは午後9時半過ぎ。東京駅の公衆電話からだった。 ■メールもダメ 青森県八戸市の主婦(44)は東北新幹線で帰る途中、仙台駅の手前で電車に閉じこめられた。携帯電話のメールで神奈川県に住む娘に連絡したが、何度やっても送信できない。午後8時過ぎ、娘たちからのメールがまとまって8件届いた。 盛岡消防本部は26日夜、携帯電話から119番通報できるかどうかを試験した。かかりにくかった機種もあった。「もっと大きな被害が出たときに携帯からの通報が受けられなかったら……」と指令室の担当者は心配する。 携帯電話が通じなかった理由は、携帯各社が通話を規制したためだ。NTTドコモは地震発生直後、交換局を管理する機械が大量の通話に反応し、東北6県では電話もメールも8回に1回しか通じなくなった。J−フォンは東北地方発信の電話について、地震発生直後に最大50%規制。KDDI(au)も、東北地方の一部で電話もメールもほぼ通じなくなった。 ■通常時の40倍 NTTドコモ広報部によると、地震発生直後は東北への通話が通常時の約40倍になった。「容量を超えた通話が集中すると交換局がパンクし、システム全体がダウンするおそれがあり、消防や警察、行政関係の優先電話も通じなくなる」と説明する。 携帯電話は爆発的に普及し、4月末の国内加入台数は約7632万台。阪神大震災が起きた95年初頭の約20倍だ。一方、公衆電話は01年9月末で約70万台。95年に比べて約10万台減った。 NTT東日本によると、有線電話は局内の交換機ごとに規制がかかるため、一律に規制する携帯電話よりつながりやすいという。 ■ネット導入も しかし、地震で不安にかられた人々がとっさに頼ったのは携帯電話だった。がけ崩れの恐れから友人宅に避難した宮城県石巻市のアルバイト亀山望美さん(24)は「一番連絡がとりたいときにつながらないのでは意味がない」。通信業者は現在、国と一緒に、安否確認のための伝言サービスやインターネットの導入を検討し、一部実施している。総務省も110番や119番のような緊急通話は規制を受けないようにする機能を携帯電話に備えるよう検討している。 |
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