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2003年05月23日(金) 21時25分

“藤村遺跡”すべてねつ造、考古学協会が断定読売新聞

 旧石器ねつ造問題の検証を続けていた日本考古学協会(会長・甘粕健新潟大名誉教授)は、東北旧石器文化研究所の藤村新一前副理事長が関与した遺跡の採取・発掘資料について、すべてねつ造と断定した。24日の総会で最終報告として発表する。

 学会が“藤村遺跡”のすべてを正式に否定することで、教科書の書き換えなど社会的な混乱を引き起こしてきたねつ造問題は最終的に決着をみる。これで、約70万年前にまでさかのぼるとされてきた日本列島の人類の起源は、現時点では約5—4万年前にとどまることになる。今後は、学界の改革と新たな前・中期旧石器研究の構築が課題となる。

 最終報告では、「藤村新一が『発見』あるいは関与した『遺跡』約186カ所は、『前・中期旧石器』にかぎらず、後期旧石器・縄文にいたるまで彼による捏造(ねつぞう)であり、学術的資料としては無効である」と明解に全面否定する。

 昨年の総会では、検証を行った30遺跡についてのみ、「学術的資料として扱うことは不可能」とする見解にとどまっていた。しかし、日本の前期旧石器研究の原点だった宮城県の座散乱木(ざざらぎ)遺跡(昨年12月、国史跡の指定解除)を検証発掘した結果、ねつ造を否定する材料が全く見あたらなかったことなどから、今回の判断に至った。

 さらに報告では、藤村氏がねつ造を行った動機についても踏み込んで考察。当初、同氏が述べた「プレッシャー」や「魔が差した」などの理由を否定し、「学問的な探求心ではなく、名声の獲得を目的とする行為であった可能性がつよい」と結論付ける。

 ねつ造を許した学界の責任や原因にも具体的に言及。今回の事件を教訓とし、「学問的論議に慣れる環境づくりに取り組む」必要性を強調する。

 同協会は一昨年5月に、この問題を論議する「前・中期旧石器問題調査研究特別委員会」を発足させ、2年間にわたって、遺跡や遺物の検証を続けてきた。今後は、来年カナダで開催される米国考古学会の席上、検証結果を報告、国際的な理解を得る方針だ。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030523-00000012-yom-soci

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