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2003年05月15日(木) 15時56分

日本製粉、無許可業者に産廃委託 放置ドラム缶から悪臭朝日新聞

 大手製粉会社の日本製粉(本社・東京都)が、同社竜ケ崎工場(茨城県)から出た小麦粉の不良品やサンプルなどの産業廃棄物を今年1月までの約2年間、廃棄物処理の許可を持たない農場経営者に引き取らせたとして、同県から廃棄物の撤去を命じられていたことがわかった。同社は「誠に遺憾。廃棄物は速やかに撤去したい」としている。農場は廃棄物を敷地に放置し、周辺住民から悪臭の苦情が県や村に度々寄せられていた。環境省によると、食品メーカーを廃棄物処理法違反で行政指導することは珍しいという。

 廃棄物を引き取っていたのは同県大洋村の「富士福祉農場」(菅谷富士男代表)。牛や豚を飼育する2.3ヘクタールの敷地には、食品廃棄物が詰まった無数のドラム缶が積み上げられている。「月に数件はにおいの苦情が寄せられ、近隣トラブルもあったようだ」(同村環境対策課)

 日本製粉によると、00年12月、同社と農場は、製品にならない小麦粉や出荷後に一定期間保存する試験サンプル品などを、農場が飼料用として再生利用することで合意した。

 これまで農場に渡した廃棄物は計800トン。処理費用として1キロあたり6〜7円、計約500万円を農場側に支払ったという。委託業者に処理させると通常1キロ20円かかるといい、約1000万円費用が安く済んだ計算になる。「当時、竜ケ崎工場の生産性をアップさせ、排出物も増加した。再生利用目的で廃棄物を引き取りたいと農場から申し出があり、渡りに船だった」(広報部)。現在も推定300トンが農場に残っているという。

 同社は4月に撤去計画書を茨城県知事に提出。9月末までにすべてを回収する計画だ。

 農場は明治飼糧(本社・東京都)などほか数社からも食品廃棄物を集めていた。

 明治飼糧は、鹿島工場(茨城県)から排出された食品廃棄物を十数年前から月平均20トンのペースで無償で農場に運んでいたという。同社は「問題ならば、すぐに撤去したい」としている。

 菅谷代表は「牛や豚の飼料にするため、食品廃棄物を集めていた」とし、中には飼料にならないものも多く含まれていたため「結果的に放置している。申し訳ない」という。同代表は「日本製粉からは処理費用として手間賃をもらっていた。再生利用が目的だった」と話している。

◆日本製粉の話

 再生利用ということで取り組んできたが、廃棄物処理法違反という結果になり、誠に遺憾だ。関係者の方におわび申し上げたい。(05/15 14:32)

http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY200305150204.html

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