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2003年05月01日(木) 15時08分
盗難通帳の印影偽造して払い戻し、銀行に返還訴訟多発(読売新聞)預金通帳を盗んでは押印欄の印影をスキャナーで読み取り、偽造した印鑑を使って窓口で堂々と引き出す犯罪が多発している。銀行側は通帳の押印をなくすなどの対策を講じているが、古い通帳には押印があり、通帳と印鑑があれば本人と見なされている。警察庁によると、通帳の盗難は年間約3万件。 こうした被害に預金の返還を求める訴訟も相次いでおり、これまでに約70人が28の金融機関に計約5億円の返還を求めているほか、6月には新たに約20人が提訴する構えだ。 東京都内の女性会社員(42)は今年3月、自宅から通帳数冊を盗まれ、都市銀行2行で定期預金計1100万円を引き出された。 印鑑は盗まれなかったが、銀行の窓口に出された払戻請求書には、通帳と同じ印が押されていた。「盗まれた古い通帳の印影からパソコンのスキャナーを使って印鑑を偽造した犯行」(警察)だった。払戻請求書の住所や氏名の筆跡は女性のものとは違い、自宅の電話番号の記載はなかった。 ある都銀の定期預金は、犯行4日前に開設したばかりの新規口座。それが利用したことがない支店で解約されていた。別の都銀の預金は、被害の前日、「登録印と印影が違う」と、払い戻しが拒否されていた。 会社員は「不自然な点があるのに、簡単に払い戻しに応じた銀行の対応は問題だ」と憤り、都銀2行に預金返還を求める訴訟を起こす準備を進めている。 ある都銀によると、偽造印鑑で預金が引き出される被害は1998年ごろから増え、年に100件前後の苦情や問い合わせがあるという。 最近は、ピッキングなど空き巣の手口が巧妙化し、盗難に気がつかないまま、預金が引き出される被害も多い。警察庁によると、預金通帳の盗難事件は、毎年、全国で3万件近く起きているという。 払い戻しの手口は、印鑑を偽造するほか、スキャナーで読み取った印影を直接、払戻請求書に印刷する。 このため、都銀各行は昨年までに、新規発行の通帳から押印欄を廃止。地方銀行や信用金庫、信用組合なども次々に同様の措置を講じている。しかし、古い通帳はそのまま使えるため、被害は後を絶たないのが実情という。 今年1月に施行された本人確認法は、金融機関に口座開設時や200万円を超える出金や送金の際、免許証などでの確認を義務付けている。しかし、金融庁は「口座開設時に本人確認がされていれば、解約や払い戻しの際の確認は不要」と話す。 実際、ある都銀関係者は「窓口で預金を引き出すお客様に、免許証などで本人確認するかどうかは、担当者の判断任せ」と事情を打ち明ける。 こうした被害に、銀行を相手取って預金の返還を求める訴訟も多い。 首都圏などの計70人が昨年9月と12月に28の金融機関に計約5億円の返還を求めて東京など6地裁に提訴したほか6月には東京などの約20人が提訴するという。 しかし、裁判の多くで、「窓口に来た全員を本人確認するのは困難」などとして被害者側が敗訴しているという。 「預貯金過誤払被害対策弁護団」事務局長の野間啓弁護士は「キャッシュカードの暗証番号を窓口でも書かせれば、大半の被害は防げるはず。現金自動預け払い機(ATM)より窓口の方が不安というのはおかしい」と話している。 ◆本人確認法=金融機関に顧客の氏名、住所、生年月日を運転免許証やパスポートで確認するよう義務づけ、取引記録を7年間保存することも定めている。米同時テロを受け、テロ資金などのマネー・ロンダリング(資金洗浄)防止を主な狙いとしている。 |