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2003年04月28日(月) 15時16分

国有地「偽転売話」にご注意、払い下げ便乗詐欺か 東京朝日新聞

 高級住宅地として知られる東京都港区白金台の国有地をめぐり、買い取りを求める虚偽の転売話が不動産業者らに持ちかけられていることが分かった。国から払い下げを受けたとする「公文書」に公印をまねた印鑑も押してあり、偽造の手口は巧妙だ。財政難から各地で国有地売却を進める財務省は、払い下げに便乗した詐欺の可能性もあるとみて警戒を強め、警視庁も捜査を始めた。

 「国有地を取得したとする架空の話にご注意」

 港区白金台5丁目の住宅地。目黒通り沿いの空き地に2月、同省関東財務局がこんな看板を設置した。

 空き地には、昨年3月まで公務員住宅が4棟立っていた。広さは約6000平方メートル。近く競争入札で民間に売却される予定という。

 ところが、この土地をめぐって、昨年4月ごろから「国が売却したというのは本当か」「『買い取らないか』と話があったが大丈夫か」といった問い合わせが不動産業者から同財務局に入るようになった。これまでに、少なくとも10件以上にのぼり、いずれも虚偽の転売話を持ちかけられていたという。

 同財務局で調べたところ、男が「国から払い下げを受けた」といい、「入札書」などを持って接触してきたという。

 この「入札書」は01年12月17日付で、都内の専門学校の代表がこの土地の一般競争入札に参加して「14億7609万円」で入札したことになっている。

 「特別払下保証金納入証明書」という文書もあり、専門学校が保証金として「1億4769万円」を同財務局に納付したことになっていた。

 しかし、書類に記された専門学校は実在せず、「特別払下保証金納入証明書」も公文書として存在しない書類だった。

 さらに、二つの文書にはそれぞれ、同財務局の部署の公印をまねた「直拓財産課」「財務部」という印鑑が押されていたという。しかし、同財務局には「直拓財産課」はもともと存在せず、「財務部」も81年に廃止されていた。

 同財務局の担当者は「一般の人が本物だと信じても仕方がないほどもっともらしく書かれている」と話す。

 実際に転売話に乗った被害はまだ確認されていないが、同財務局から届けを受け、警視庁も捜査を始めた。文書類の偽造が巧妙なことから、話を持ちかけた男の背後に何らかのグループが関与している可能性もあるとみている。

 同庁は「国有地の売却が増える流れに便乗した手口で、今後も同様の不動産詐欺事件が増えてくる可能性もある」(捜査幹部)と話している。(04/28 14:41)

http://www.asahi.com/national/update/0428/014.html

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