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2003年04月20日(日) 09時38分
4月20日付・読売社説(2)(読売新聞)[関東大停電?]「原発は急には立ち上がらない」 電車は線路上で立ち往生し、信号が消えた道路は大渋滞に陥っている。ようやく戻った家はロウソクで薄暗く、料理もままならない。高層住宅は断水し、トイレにも困る——。 関東全域で、大停電という悪夢が、現実のものになろうとしている。 東京電力が新潟、福島県に持つ十七基の原子力発電所はすべて停止した。 東電の電力供給は、この瞬間も厳しい綱渡りを迫られている。予備の発電能力はゼロで、需要の急増や発電所の故障など万一の事態に対応できずにいる。 冷房需要が増える夏場には、最大で六千四百五十万キロ・ワットの需要が見込まれるが、原発が停止したままだと、五千五百万キロ・ワットしか供給できない。 東京大停電を回避するには、夏場までに十基程度の原発を再稼働する必要がある。これは誰でも分かる算数だ。 もちろん安全性を確認しないまま、見切り発車で再稼働するのは許されることではない。経産省原子力安全・保安院の検査が間に合わない場合は、節電と輪番停電で夏を乗り切るしかない。 しかし、専門家が設定した基準に従って、保安院が厳しく検査した結果、問題がないと判定された原発は、早期に運転を再開すべきである。 新潟県の柏崎刈羽6号機がその一番手になる。柏崎市長と刈羽町長は、保安院が「安全宣言」を出せば、再稼働を受け入れるとしている。県知事は、地元の判断を尊重する考えという。 保安院が安全上問題がないと判断するなら、そのことを自信を持って宣言し、地元の理解を得なければならない。 平沼経産相は「夏場には停電の可能性も否定できない」と語った。エネルギー担当相としての責任感に欠ける評論家的な発言だ。 地元に反対の残る再稼働を前に、経産省と東電、県と町村が決断の責任を押しつけ合っているようにも見える。 日本エネルギー経済研究所は一九九四年に、首都圏で八月の三日間、大停電が起きた時の影響を試算した。 混乱するのは日常生活だけではない。大病院には自家発電機があるが、訓練していないと急場の役に立たない。燃料の備えも不十分だ。大停電は国民の生命の危機に直結しているのである。 原発関係者の一部に「停電は、原発の重要性を認識させる」と、開き直りの姿勢が垣間見えるのも問題だ。 修理した原発の再稼働には手間がかかり、フル運転まで一か月を要することもある。検査に合格したものは、再開への作業着手を急がねばならない。 |