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2003年04月08日(火) 22時01分

黒人の横顔さし絵修正 文科省が「唇が厚すぎる」と意見朝日新聞

 「アフリカ系アメリカ人(黒人)にしては、唇が厚すぎる」。教科書検定で、英語の挿絵に文部科学省がこんな意見をつけて、修正を求めた。出版社は指摘のあった絵を含む5枚を、唇を薄くしたり顔を細くしたりするなどの修正をした。

 意見がついたのは、東京書籍の英語教科書「リーディング」に載ったエッセー「Getups(目立つ服装)」の挿絵。詩人や脚本家として米国で活躍する黒人女性マヤ・アンジェロウさんの作品で、他人の価値観にとらわれずに服を選ぶ大切さを説く。

 挿絵は、バスケットボールをして遊ぶ黒人の若者2人の横顔を描いていた。この絵に文科省は「アフリカ系アメリカ人の民族的特徴として唇が厚いことを誇張して描くことは、読者の誤解を招く」と指摘した。

 出版社はこれを受け、唇を薄くする修正をした。エッセーには、ほかに4枚の挿絵が載っていたが、それらも自主的に唇を薄くしたほか、顔をほっそりさせる▽体形をやせ形にして背を高くする——などの点を意識して描き直した。

 「『国際理解』は教科書の重要なテーマ。民族の個性は大切だが、表現が紋切り型だと差別やいじめにつながる恐れがあるため、一連の絵を修正した。登場する女性は20代なので年齢にあわせて容姿も直した」と同社。

 文科省によると、97年の検定でも「英語2」で、唇を厚く描いた黒人大リーガーの絵と、鼻を高く描いた白人の絵に「誤解を招く」と意見をつけたことがあるという。

 この修正に英国出身のブロードキャスター、ピーター・バラカンさんは肯定的だ。

 「絵を見て文科省と同じ意見を持った。差別の意図はないのだろうが、無意識のうちに日本人は民族のステレオタイプを持っていると思う。誇張されたイメージが固定しないように問題意識を持つべきだと思う」

 ニューヨーク・タイムズのハワード・フレンチ東京支局長は否定的。「私自身、アフリカ系アメリカ人だが、元の絵を見て嫌な感じはしない。ここまで細部にわたって規制することには賛成できない。差別をなくそうという動機は良いけれど、修正は馬鹿げている」と話している。

(04/08 17:46)

http://www.asahi.com/national/update/0408/019.html

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