2003年03月31日(月) 00時00分
切り札デジタル師団、首都攻撃に投入ハイテク装備で実力発揮か(ZAKZAK)
ハイテク装備で固められ、世界最強と言われる陸軍第4歩兵師団。バグダッド攻略の“切り札”となるか?!(AP) 真の世界最強軍団「デジタル重師団」がついに始動−。フセイン軍団の猛反撃、砂嵐など厳しい自然に阻まれ、イラク戦争の長期化が必至となるなか、10万人規模の増派を決めた米軍は、“切り札”として最先端のハイテク装備で固めた陸軍の「第4歩兵師団」をイラク入りさせる。初の実戦投入ながら、いきなり重大局面で、その実力が試される。 南部戦線は、米英軍が、イラク軍最強の「メディナ機甲師団」、ゲリラ組織「サダム・フェダイーン(サダム挺身隊)」などの激しい抵抗に遭い、予想を上回る苦戦を強いられている。 しかも、視界ゼロ、目、口、耳、鼻、パンツにまで砂が容赦なく入り込む砂嵐が猛威を奮い、米英軍に襲いかかる。 こうした状況下、米軍は、最強の“助っ人軍団”として「第4歩兵師団」を参戦させたのだ。 「アイアン・ホース」(鉄の馬)との愛称を持つ同師団は「最も強力で近代化され、展開能力が高い」(米国防総省)と、米軍の信頼が厚い。 「ITソルジャー」と称される兵員は約1万6000人。最新電子機器が搭載されたM1A2エイブラムズなど戦車250両、ブラッドレー装甲歩兵戦闘車約200台、ヘリ100機−などを装備する。 その大きな特徴は、最先端のIT(情報技術)導入による情報の「共有化」だろう。 偵察衛星や偵察機からの情報、味方部隊の展開状況、作戦現場の地図、気象条件−など、戦闘に必要な全情報を集めて『軍事インターネット』を構築。指揮系統も完全にコンピューター化、交信手段もデジタル化しており、「デジタル重師団」と呼ばれる理由だ。 戦車やヘリも最新コンピューターを装備、前線に散らばった各兵士は携帯の端末を持ち、軍事インターネットから詳細な情報を得る。 「軍事研究」編集部の大久保義信氏は「末端の部隊や兵士までリアルタイムで情報を入手できるため、戦況を理解し、無駄のない攻撃が可能。また、敵、味方の位置が正確にわかるため、不安感は減り、友軍の誤射も防げる」と説明。 つまり、無駄のない攻撃で大きな戦果を挙げられるというわけだ。 米軍は、湾岸戦争時の一個師団(2万4000人)と比べ、「制圧可能な作戦領域は2・4倍」と、より広い範囲がカバーできると分析する。 そもそも、米軍は「RMA」(軍事革命)の下、軍事偵察衛星やGPS(衛星利用測位システム)導入など軍全体のハイテク化を進めてきたが、「IT師団」もこの流れの中から誕生した。 95年以降、第4歩兵師団を再編して実験的に整備。01年、ようやく戦力としてのメドが立ち、今回実戦に初投入されることになった。 当初は、トルコ側からバグダッド制圧を目指す「北ルート」の主力部隊となる予定だったが、トルコ国会が米軍の新規駐留を否決したことで断念。テキサス州フォートフードなどの基地に足止めの状態となっていたが、ついに派遣命令が下され、27日(現地時間)、同基地を空路出発し、クウェート入りした。 同師団はまた、正確な戦場情報を獲得するための、無人偵察機や赤外線偵察車など「独自の新型偵察兵器」も持つ。 「夜間や視界が悪いエリア、さらに敵と味方、民間人と兵士の区別に細心の注意が必要な市街戦で大きな威力を発揮する」(軍事評論家) 情報を駆使した効率的な攻撃と併せ、バグダッド攻略、さらに市街戦など今後の重大局面で大きな力を発揮することは間違いない。 最新鋭の兵器は現在、トルコを出た後、船で地中海を移動中とみられる。「クウェートへの到着や、装備の整備の時間を考えると、部隊が前線に向け動き出すまでに最低2週間かかる」(大久保氏)とされ、今はまだ「時間との戦い」が続いている。 それでも、来月中には、ベールに包まれた「アイアン・ホース」の全貌が明らかになり、フセイン軍団に襲いかかる。 ZAKZAK 2003/03/31
http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_03/2t2003033101.html
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